2007 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸イメージングによるシナプス可塑性制御機構の時空間解析
Project/Area Number |
19890094
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
並木 繁行 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 助教 (90452193)
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Keywords | グルタミン酸 / イメージング / シナプス |
Research Abstract |
計画の1年目として、神経伝達物質であるグルタミン酸を可視化するための蛍光性のグルタミン酸可視化プローブ(EOS)の改良を行った。EOSはAMPA型グルタミン酸受容体のGluR2サブユニットのグルタミン酸結合ドメインを基本骨格として利用して、その403番目アミノ酸残基のセリンをシステインに置換し、そのシステインのチオール基に選択的に蛍光色素オレゴングリーンを結合させたものである。EOSを用いて、標本中のどこのシナプスがどの程度のグルタミン酸を放出しているのかを高精細に解析することを可能にし、ホルボールエステル等の薬物処理を行うことで生じるシナプスの可塑的変化を単一シナプスレベルの分解能で経時的に捉える事ができた。以上のグルタミン酸可視化プローブの開発からそのシナプス伝達可視化への応用の成果をまとめ、論文として発表した(Namiki S, Sakamoto H, Iinuma S, Iino M, Hirose K. European Journal of Neuroscience,25,2249)。EOSを用いてより高精細なグルタミン酸イメージングを実現する為に、従来型EOSにアミノ酸変異を加えることで、従来型と比べ約50%のダイナミックレンジの向上が実現した。これにより従来型では困難であった単一シナプスレベルでのグルタミン酸放出を培養海馬神経細胞において、優れたS/N比で検出することに成功した。また、高次構造データや過去の報告を基にグルタミン酸結合に寄与していると予想されるEOS中のアミノ酸残基に変異を導入しグルタミン酸との親和性の調節を試みた。これによりnMオーダーからmMオーダーの解離定数を有する複数のグルタミン酸プローブのラインナップの整備ができた。
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