2007 Fiscal Year Annual Research Report
低配位リン化合物を活用する高効率的・高選択的な触媒反応の開発
Project/Area Number |
19890103
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
滝田 良 Kyoto University, 化学研究所, 助教 (50452321)
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Keywords | ホスファアルケン / π-アクセプター / σ-ドナー / 直接的アリール化反応 |
Research Abstract |
ホスファアルケン部位とホスフィン部位との両方を有している二座配位子を設計、合成した。この配位子の中心骨格であるフェロセン骨格は、共役によるホスファアルケン部位の安定化と、軸不斉の発現との二種類の役割を果たしている。これを用いて物性・反応性の両面から検討を行った。 白金ジメチル錯体のX線結晶構造解析の結果から、ホスファアルケン部位とホスフィン部位のトランス影響がほぼ同等であることが明らかとなった。これまでホスファアルケンの高いπ-アクセプター性が注目されていたのに対し、σ-ドナー性については情報が乏しかった。この結果から高いσ-ドナー性も有していることが明らかになった。 また、フェロセン骨格を有していることからサイクリックボルタンメトリーからも情報が得られた。すなわち、配位子そのものは酸化に対し不安定であるものの、錯体を形成すると準可逆的な酸化波が観測された。これは、結晶構造において錯体の白金、ホスファアルケン、フェロセンのシクロペンタジエニル基がほぼ平面に並ぶことと併せて、錯体形成時、π共役によるさらなる安定化が得られていることを示唆している。 反応性の観点からはジエンに対するヒドロアミノ化反応を検討した。殊に不斉収率に関しては再現性に乏しく、満足する結果は得られなかった。一方で、MS5Aの添加により反応性が大きく向上することを見出した。NMR実験より、添加によりホスファアルケン部位の分解が防がれていることが示唆された。 また別のホスファアルケン配位子を用いてヘテロアレーン類の直接的アリール化反応についても検討を行った。まだ十分な結果ではないが、望みの反応が進行することを見出している。さらに、開始剤存在下、"直接的重合反応"が進行することを見出し、現在、さらに改良すべく条件検討を行っている。
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Research Products
(3 results)