2008 Fiscal Year Annual Research Report
ITを利用した双方向性コミュニケーションによる患者支援システム
Project/Area Number |
19890116
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久保田 正和 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (80452267)
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Keywords | 医療・福祉 / 看護学 / 在宅支援 / IT / 認知症 / スカイプ / 家族 / 介護負担 |
Research Abstract |
在宅認知症患者とその家族を対象に、患者の認知症悪化予防と家族の介護負担軽減を目的に研究を行った。介入群6名、対照群7名である。介入群には、インターネット上で無料ダウンロードできるソフトであるスカイプ(テレビ電話)を自宅のパソコンにダウンロードし、スカイプを通して主に看護師が相談に応じた。高度先進医療病院(京大病院)と、対象者の自宅を双方向性に結び、週1回、30分程度の相談で、12週間継続した。交信の内容については、健康状態の観察や助言、日常生活での相談、服薬指導、椅子に座ってできる簡単な運動等であった。会話はSkype録画・録音ソフト(Tapur)で患者または家族の了承の下、録画・録音した。対照群には特に定期的な相談は行わなかった。 認知機能検査(MMSE、HDS-R)の結果は、介入群の得点に改善傾向が見られた。ADL機能評価(Barthel Index:BI)は変化がみられず、記憶が少し改善されたとしても、それが身体の活動性に影響を与えるまでには至らなかったといえる。家族に対しては、抑うつ尺度(Zung式抑うつ尺度、ベック式抑うつ尺度)、介護負担度(Zarit介護負担尺度日本語版の短縮版:J-ZBI-8)、Pinesのバーンアウトスケールを測定したが、大きな変化はみられなかった。しかし、介護者の自記式アンケートでは「性格が明るくなった」「活動的になった」など患者同様に介入を良い印象として捉えていたようである。医療者側の意見としては、HDS-RやMMSEなどがテレビカメラを通して外来と同じように全く問題なく施行できたことや、交信中に家族から内服についての質問があり、更新を続けながら主治医にチャットで確認し、リアルタイムで即答できた等新たな可能性を見いだせたのではないかと感じている。また、週に1度30分間マンツーマンで患者と向き合うことは外来で交流する以上に十分に訴えを傾聴でき、患者と家族介護者の変化をきめ細かく把握するという点で、スカイプが有用であることを示唆している。
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Research Products
(3 results)