2007 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌腹膜播種に重要なインテグリンの特定とその発現機序の解析
Project/Area Number |
19890124
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澤田 健二郎 Osaka University, 医学部附属病院, 助教 (00452392)
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Keywords | 卵巣癌 / 腹膜播種 / E-Cadherin / Integrin α5 / Fibronectin |
Research Abstract |
我々はまず、卵巣癌をはじめとする上皮由来の発癌が、上皮細胞間の接着因子であるE-Cadherinの発現消失によって始まることに着目した。E-Cadherinが強発現している卵巣癌細胞株RMUG-SにE-Cadherin siRNAを一過性にTransfectionし、数種の接着因子(Integrin, CD44)の発現を検討したところ、細胞外マトリックスの一つであるFibronectinの受容体であるIntegrin α5の発現が特異的に増加していることが判明した。 次に、8種類の卵巣癌細胞株を用いて、E-CadherinとIntegrin α5の発現を検討したところ、E-Cadherinが強発現している細胞株(RMUG-S,OVCAR5,CaOV3)ではIntegrin α5の発現が減弱しており、逆にIntegrin α5が強発現している細胞株(SKOV3ip1,Hey,A2780,OVMZ6)では、E-Cadherinの発現がほぼ消失していることが判明した。さらにE-Cadherinが中等度発現しているRMUG-Lでは、Integrin α5も中等度の発現があり、以上より、E-Cadherinの発現消失に伴いIntegrin α5が発現していることを証明した。卵巣癌は卵巣表面の一層からなる卵巣上皮から発生し、大網を始めとする腹腔内臓器へ播種していく。腹腔内臓器はFibronectinを始めとする細胞外マトリックスで覆われていることより、癌化に伴いE-Cadherinを消失し離脱した卵巣癌細胞が播種病変を形成するべく、Fibronectin受容体であるIntegrin α5の発現を増強することは癌の進展に極めて合目的であるといえる。 続いて、ヌードマウスを用いて作成した卵巣癌腹膜播種モデルマウスにIntegrin α5の中和抗体を腹腔内投与したところ、卵巣癌播種病変および腹水の減少を認め、担癌マウスの生存が有意に延長した。 以上より、Integrin α5の分子標的治療は卵巣癌腹膜播種の抑制に有用であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)