2019 Fiscal Year Annual Research Report
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19F19350
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
陳 強 東北大学, 工学研究科, 教授 (30261580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
XU KAIDA 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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Keywords | アンテナ / マイクロ波 / アレーアンテナ / 電磁結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
5G無線通信システムの基地局用準ミリ波アンテナとして、広帯域、高利得と広角度のビーム走査が可能な基地局Massive(大規模) MIMOアンテナが求められているが,アンテナ間の電磁結合のため,これらの性能の達成が極めて困難である.そこで本研究では、準ミリ波Massive MIMOアンテナとして、素子間の電磁結合を低減することにより、広帯域,高利得,広角度スキャンが可能なMassive MIMOアレーアンテナの設計法を確立する目的で、研究を進めている。 本年度では、主に3つの研究成果を挙げている。1つ目は、新たな結合除去ネットワーク(Decoupling Network, DCN)の設計を提案し、デュアルバンドで動作可能な2素子のアレーアンテナの給電回路に適用し、実験とシミュレーションにより、その効果を実証した成果である。この研究成果は、外国人特別研究員が従来行ってきた研究を継続し、さらに発展したものである。二つ目は、T型スタブ構造の結合分布常数線路を用いたバンドパスフィルタを設計した成果である。ストップバンドでの信号抑圧効果が45.5dBと高く、アレーアンテナの素子間電磁結合のために有効な技術だと言える。また、3番目は、これまでの分布常数回路の設計法と異なる新しい手法で、小形で高周波対応が可能なデュアルバンド電波吸収体の設計技術を提案している。提案した技術により、方形グラフェンリングアレーを用いた周期構造の電波吸収体を設計し、電磁界の数値シミュレーションにより、デュアルバンドの周波数可変性と電力吸収効果を確認した。 以上の三つの研究成果をそれぞれまとめた3件の学術論文が採択されており、近く公表される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的と目標は、アンテナ間の電磁結合を減らすための結合除去ネットワーク(Decoupling Network, DCN)の設計理論の確立としている。本年度の研究では、この目標に達成するための多くの研究成果を着実に積み上げている。また、これらの研究成果を論理的に、系統的に3つの研究論文にまとめ、インパクトファクターの高い学術論文誌に掲載されるようにした。 これにより、学問的な社会貢献だけではなく、本学の学術のアクティビティの向上にも貢献したことに高く評価できると思う。 論文掲載誌は、Optics Express、 IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, 及びInternational Journal of RF and Microwave Computer-Aided Engineeringであり、これらの論文誌の2018年インパクトファクターはそれぞれ3.561、3.756と1.472である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度に、引き続き、アレーアンテナ素子間の電磁結合を減らすための結合除去ネットワーク(Decoupling Network, DNC)の設計理論と技術の研究を行う。 具体的には、DNCの動作周波数の広帯域をさらに広帯域化し、大規模リフレクトアレーの素子間の電磁結合の低減によるビーム走査角度の増大を図る。 また、今年度の研究成果では、素子間の電磁結合を低減するために、電波吸収体の効果が重要であることが示されている。そのため、小形で、動作周波数が可変な構造型電波吸収体の設計手法の確立が重要な研究課題となる。これまで、単層グラフェンを用いた方形リングによるテラヘルツの多周波吸収を実現したが、今後に、これらの研究に引継ぎ、吸収体構造の低周波化の設計や広帯域の設計方法、周波数のチューニング方法をさらに検討する。 また、研究成果を迅速にまとめ、学会論文誌に投稿することも重要である。近年、当該分野において、新しいメタマテリアルや液晶材料の電波応用など、新しい研究課題が次々と登場し、学会で注目されている。そのため、本課題の申請時に定めた研究の大方針を堅持しつつ、研究の内容とアプローチについて、柔軟性をもって対応していくことも重要である。特に、近年、注目されている電磁波のミリ波、テラヘルツに応用可能な電波材料の開発に力を入れようと考えている。
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Research Products
(3 results)