2019 Fiscal Year Annual Research Report
Sustainable development of vector control method through elucidation of digestive machinery in tick.
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19F19410
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Research Institution | Kitasato University |
Host Researcher |
八田 岳士 北里大学, 医学部, 講師 (00455304)
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Foreign Research Fellow |
KWOFIE KOFI 北里大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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Keywords | フタトゲチマダニ / ワクチン / マダニ媒介感染症 / マイクロアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
感染症の制御は、高度グローバル化社会における重要な課題である。マダニは、ヒトと動物双方への感染症伝播において、蚊に次ぐ重要な節足動物であり、宿主を吸血し、貧血・皮膚損傷等の直接的な被害だけでなく、多種多様な細菌・ウイルス・原虫・リケッチア等の病原体を宿主に感染させる間接的な被害をもたらす。このようなマダニとマダニ媒介感染症の制御を目的とする殺ダニ剤処方は、多くの場合宿主や環境に過負荷となり、全地球規模の殺ダニ剤抵抗性の顕在化に寄与する。そこで本研究では、殺ダニ剤の代替手段として、マダニの代謝経路や病原体媒介能力を阻害し、マダニやマダニ媒介感染症の生活環を遮断する新たな制御技術の開発を企図する。本研究では、吸血によって中腸に取り込まれた宿主血液の消化及び病原体の伝搬に関与するマダニ蛋白質を『吸血・病原体伝播調節物質』と称し、本物質について、組換え蛋白質などを用いた生化学的機能解析や細胞解析によって、その分子機能を明らかにする。解析を行ったマダニ分子は、マダニや病原体の生活環を遮断するワクチンの候補分子であるかどうか、動物試験やin vitro試験によって実証し、現行の防除法に代わる有効で安全性と持続性の高いマダニ防除及びマダニ媒介感染症制御技術の確立を目指す。 初年度は、中腸や唾液腺等全ての臓器を包含する胚からのワクチン抗原候補遺伝子を分離同定することを目的とし、発育卵よりRNAを抽出しマイクロアレイ解析を行った。これにより、発育中期で特に発現が強く認められた約30個の遺伝子より、発育胚においてのみ発現が認められた遺伝子に着目してRT-PCRを行った。この中よりこれまでに約5個以上の遺伝子が卵特異的であることが強く示唆される結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始後わずか4.5カ月だが、マイクロアレイデータを駆使し、候補分子の選定に5個まで絞れている点から、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マダニ発育胚を経日的にサンプリングし、RNAを抽出する。発育期間を通じた発現動態をより詳細に明らかとするため、リアルタイムqPCRによって検討を行う。特に中期において発現が認められる遺伝子を最終的に解析候補遺伝子とすることを考えている。この過程において、parentalRNAi等の逆遺伝学的手法を駆使し、遺伝子の選抜手段とすることも検討している。 現在、新型コロナウイルスのパンデミックにより共同研究者が国外より帰国できずにいる。これにより研究が思うように勧められない可能性が危惧される。対応策としては、日本学術振興会外国人研究者招へい事業の指針に従うこととする。
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