Research Abstract |
本研究では,自律ロボット,生物(ヒト)の歩行,人間機械系,人間-ロボット系,マルチロボット系,人間環境系,ヒューマンインタフェース,神経ネットワーク,生体環境設計,生産現場での組織的知識創造,の諸分野において,各々の自律的行動主体の適応行動と他主体を含む環境との相互作用の設計について研究を展開した.本研究において通底する設計概念として,広義の記号過程をシステム論的観点から以下のように再定義を行った.『無限定(悪構造)な対象に対して,主体の能動的な介入によって個々の要素に対する意味のまとまりを生成し,その要素間の関係,ならびに要素と全体との関係を構造化して把握する際の「普遍的」な過程』.このもとで,数理モデル構築に基づく構成論的アプローチ,システム工学的手法による記号過程の解析手法の開発,ならびにヒトの実践共同体でのフィールド観察,等に基づいて,個々の分野に特異な記号過程について究明を進めてきた.とくに,記号過程の本質を「意味作用」と「伝達」の側面に見いだし,上記の多様な分野に通底する記号過程の構成原理を,(A)内部モデル構成原理,(B)二重分節構造,(C)共感を創出する複数の記号過程の相互作用場,の3つの原理に設定して,各グループの研究を遂行するとともに,グループの枠を超えた新規融合テーマの創出を行なった.この結果,コミュニティ・ガバナンスとエンパワメントに関する「場」のデザイン論に関する研究,セミオティック・ロボティクスなどの新規テーマを創成し,国際会議でのオーガナイズド・セッションや国際ジャーナル誌で,本研究テーマでの論文特集号を企画し,情報発信を行った.さらに本研究終了後の,上記研究テーマの継続について,平成24年度リーディング・プログラムへの申請を進めているほか,国内学協会による公募プログラムへの応募・採択を受けたほか,複数の包括的産学連携研究テーマの開始が決定している.
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