2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19GS0219
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江口 徹 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 教授 (20151970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 節 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (70162386)
杉本 茂樹 名古屋大学, 大学院理学研究科, 准教授 (80362408)
白水 徹也 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (10282716)
高柳 匡 京都大学, 大学院理学研究科, 助教 (10432353)
向山 信治 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教 (40396809)
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Keywords | 弦理論 / 量子重力 / ブレーン世界 / 宇宙創生 / インフレーション宇宙 |
Research Abstract |
当研究の進展をはかるため、昨年10月より2名の研究員(藤博之、Antonio Flachi)を雇用している。また、本年2月に尾道で3日間の泊まり込み短期集中研究会(参加者30名程度)を開催し、素粒子、宇宙物理両分野の研究者が活発な研究交流を行った。 以下、研究代表者、連携研究者の活動を記す。 1 江口は、超弦理論において重力がdecoupleする極限ではゲージ理論の結合定数の質量依存性がweak gravity conjectureと呼ばれる形をとることを示した。また、N=2,N=4の超共形代数の表現論を用いて、ALE空間など開いたカラビーヤウ多様体の楕円種数を求めた。 2 佐々木は、インフレーション宇宙における非ガウス的曲率揺らぎのファインマン図的解析手法を開発した。また,高次元ブレーン宇宙上にコンパクトな余剰次元がある場合の宇宙論を考察し,そのような宇宙では低エネルギー極限でも余剰次元の影響が残る可能性を指摘した。 3 杉本は、超弦理論を用いてQCDにおけるバリオンのスペクトル、磁気モーメントなどの諸性質、2つのバリオン間の相互作用などを解析した。その結果、観測されているバリオンの諸性質をかなりうまく再現できることが分かった。 4 白水は、高次元の湾曲余剰次元模型が超弦理論に基づいたインフレーション模型を自然に提供する可能性があることを元に、任意の物質をブレーン上に存在するとした6次元の模型で重力理論の考察を行った。その際に、一次元高い正則化ブレーンを導入することによって、これまで困難とされていた特異点発生の問題を回避し、4次元のアインシュタイン理論が低エネルギーで再現されることを確認した。 5 高柳は、extremalと呼ばれる電荷を持つブラックホールのエントロピーが、微視的には量子力学でよく知られるエンタングルメント・エントロピーとして理解できることをAdS/CFT対応を用いて示した。 6 向山は、DBIインフレーションと呼ばれる超弦理論に基づくインフレーション模型に対して、観測からの制限を求めた。また、今までインフレーションを起こさないと考えられていたconformal couplingを持つスカラー場が、実際にはインフレーションを起こし得ることを示した。他に、6次元ブレーン宇宙モデルの安定性の解析、重力のヒッグス相を超弦理論の枠内で実現する模型の提唱を行なった。
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Research Products
(42 results)