2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H00002
|
Principal Investigator |
孕石 泰孝 関西大学, 初等部, 専任教諭
|
Project Period (FY) |
2019
|
Keywords | 科学哲学 / 汎用性 / 学びの有用性 |
Outline of Annual Research Achievements |
児童の実態調査からは, 約9割の児童が理科の学習は役立つという意識をもっており, 理科を学ぶことについて肯定的に捉える児童は多かった。しかし, どのようなことが役立ったかをたずねると, その約5割は「学習内容≒知識」についてであり, 「理科を通した見方や考え方」へはほとんど意識は向いていなかった。 将来にわたって科学の専門知識を活かすことになる児童の割合は決して多くはない。とすれば, 理科の学習の目的としては, 「学習内容」の理解や「学習内容」は生活に役立つという意識を高めるに留まらず, 「<より汎用性の高い>問題解決力」の育成や「<より汎用性の高い>理科を学ぶ意義, 有用性の実感」を児童に感じさせることが非常に大切である。 そこで, 本研究では, その手立ての一つとして科学哲学に注目し, アプローチした。もともと「科学」は「哲学」を源流とする学問であり, 「科学とは何か」「科学が人にもたらすものは何か」といったような本質的なところから検討するのに有用だと考えたからである。 報告者は, 科学哲学の内容を扱う小学生向けのテキストの具体的な教材として, ブック『科学哲学入門』を作成した。本教材は, 抽象的な内容を扱ってはいるが, 小学生でも読みやすいよう, 対話形式で話を進めるように工夫されている。また, ICTの活用を想定して, 電子ブックとして作成されている。 『科学哲学入門』は, 児童にとって聞き慣れない内容ではあるが, 小学生でも短時間で自力で読み通すことができるものである。児童の読後の感想の中には, 「理科を学ぶ意味」について改めて考えさせられるものだったという意見があった。科学哲学を取り入れることは, 「理科を学ぶことの意味そのもの」など, 小学生にも広く科学についての見方を促す有効な手段であると考える。
|
Research Products
(3 results)