2019 Fiscal Year Annual Research Report
賭博罪の基礎研究およびギャンブル教育プログラムの開発
Project/Area Number |
19H00025
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Principal Investigator |
川田 泰之 早稲田大学, 高等学院, 教諭
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | カジノ / ギャンブル教育 / ギャンブル依存症 |
Outline of Annual Research Achievements |
カジノを含む統合型リゾート(IR)の開設が間近に迫る中、ギャンブル教育の教材開発は喫緊の課題となっている。しかし、ギャンブルの危険性を伝えるパンフレット等を教材として、教員が一方的に説明するのみでは、その効果には疑問が残る。そこで、ギャンブル教育を大人が用意するのではなくて、一定の情報を提供した上で、高校生自身にギャンブル教育の内容を発案させれば、彼らがギャンブルをめぐる諸問題について主体的に考察するようになると考えた。 具体的には、専門家による講演や海外教材に基づく講義の後に、中学生を対象とする授業内容を考案させて、それを実際に実施した(もちろん内容を点検してから、教員が授業を行った)。そこには、伝える側の目線に立つことによって、大人から与えられた情報を無関心に受け取るのではなくて、その情報について主体的に考察する態度を涵養するねらいがあった。 三回にわたって実施したアンケート調査から看取できる成果は次のとおりである。1. 専門家による講演や教員による講義によって、生徒の知識は飛躍的に増した。2. 教材作成を通じて、生徒は伝える側の目線に立って、基礎知識を活用して、諸問題を主体的に考察するようになった。3. 当初ギャンブルに対する志向性が強かった生徒、およびギャンブルの危険性に関する意識が低かった生徒については、ギャンブルの危険性を理解させることに成功した。 ただし、もともと志向性が弱い生徒、および意識が高い生徒については、志向性の強さや意識の低さを表す数値が上昇したことから、評価が難しい。とはいえ、必ずしも数値を下げることが目的でないことを考慮すると、直ちに否定的に捉える必要はないと思われる。むしろこの点は、高校生がギャンブルの危険性を理解した上で、オッズをよく吟味して、それが自身に有利であるならば、勝負に出てもよいと考えるようになった証左であるとも評価しうる。
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Research Products
(2 results)