Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 学校における教員による修復的対話の実現を目指した教員研修プログラム(以下, 教員研修プログラム)を実施した。教員研修プログラムは、修復的対話を実現する教員の修復的対話スキル, 修復的な子ども同士の関係形成スキルの2つに分けられ, それぞれに対して3時間から5時間のプログラムで構成した。本研究では, その作成した教員研修プログラムを実際に教員に対して実施し, その効果を明らかにすることを目的とした。その目的を達成するために, 本研究ではおおむね以下のような手続きをとった。1)国内の研究者の指導助言, 2)修復的対話を実際に実践している学校への視察, 3)教員研修プログラムの開発, 3)教員研修プログラムの効果測定質問紙の作成, 4)教員研修プログラムの実施, 6)教員研修プログラムの効果検証と研究成果の報告。 その結果, 修復的対話スキルの向上を目的とした教員研修プログラムの実施によって, 子ども同士の問題解決に対する教員の有用感の向上, 加えて学級における対立問題数の減少が明らかとなった。また, 修復的な子ども同士の関係形成スキルを目的とした教員研修プログラムの実施によって, 子どもの他者の対立問題に対する態度の変容が明らかとなった。 以上より, 本研究で開発した教員研修プログラムによって, 学校内で生じる子ども同士のけんかやいじめなどの対立問題を教員が主体となって修復するスキルを習得することができ, それによる一定の効果が示されたと言える。また, 子ども同士の関係性を教師が修復的なものに変容させていくことが, 学級で生じる対立問題への第三者の子どもの関わりに影響を及ぼしたことは, 大きな成果であろう。
|