2019 Fiscal Year Annual Research Report
外国につながる児童への対応力を持った新しい教育人材育成のためのカリキュラム開発
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19H00059
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Principal Investigator |
内橋 一惠 神戸常盤大学, 法人本部社会連携課, 課員
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 多文化教育 / 教員養成 / 教育人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
神戸市長田区は、在日コリアンを中心とする外国人集住の歴史や、阪神・淡路大震災を契機とした市民活動活性化の経験等の地域特性をもつ。ここで外国にルーツを持つ子どもの支援をする団体の活動現場でのフィールドワークや聞き取りを通じて、今後の教育人材育成に必要なカリキュラム開発に向けての研究を行った。 その結果、支援の担い手の高齢化と後継者不足、団体間の連携の少なさ、特に日本語の指導が必要な子どもの場合は日常的に様々な場や支援サービスを渡り歩くことになるが、活動の全体を把握しアレンジする視点の欠如等の課題が明らかになった。 さらに、この分野における在日コリアンの功績の評価は不十分で、彼らの活動の蓄積を生かそうとする発想は少ない。「民族教育」という名前で行われてきた営みの歴史は、「多文化共生・国際化」という新たなレイヤーで覆われようとしている。 区内のある公立小学校で行われている日本語教育は、開始から約10年間ボランティアによる活動だったため、課題を吸い上げ外部に情報共有する組織的な仕組みがない。しかし、10年来試行錯誤により、文科省のいう「日本語指導と教科指導の統合学習(JSL)」と重なるものが実現されているのを確認できた。 また、当初の予定になかったが、韓国での多文化共生関連の行政や民間の取り組みの調査も行い、東アジア的な共生のあり方を探った。 以上の成果を次の2つの活動に昇華させた。①新しい教育人材育成のためのミニカリキュラムの作成②地域の多文化共生について考える団体のネットワークづくり。このうち①については、研究代表者が担当する2020年度前期の講義で試行する。内容はフィールドワークから得られた先人の知見をもとに、心理学や言語学等の専門家からの助言を加えて構成する。②については、2020年春より長田区役所内での毎月の多文化共生イベントをこのネットワークで担当することが決定した。
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Research Products
(2 results)