Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 栃木県宇都宮市大谷町付近一帯から採掘される大谷石の採掘や加工の際に, 発生する粉末の締固めによる強度発現性に着目し, 現場発生土に地盤改良材として大谷石粉末を混合することを想定し大谷石粉末・まさ土・混合土(大谷石粉末とまさ土を重量比1 : 5)に対して室内試験と盛土地盤を想定した屋外模型地盤に対する力学特性の把握を試みた. 透水試験より透水係数の高いまさ土に透水係数の低い大谷石粉末を混合することにより, 透水係数が高くなることが確認された. また保水性試験においても大谷石粉末, 混合土, まさ土の順で保水性が高いという結果が得られた. 大谷石粉末の三軸圧縮強度について, 圧密非排水三軸圧縮試験では, 粘着力c'=49kN/㎡, 内部摩擦角φ'=34°, 圧密排水三軸圧縮試験では, 粘着力cd=75kN/㎡, 内部摩擦角φd=32°, 非圧密非排水三軸圧縮試験では, 粘着力cu=40kN/㎡, 内部摩擦角φu=35°となった. また, 混合土は粘着力cd=55kN/㎡, 内部摩擦角φd=36°, まさ土は粘着力cd=40kN/㎡, 内部摩擦角φd=42°となった. 土壌水分センサーを設置した屋外模型地盤における試験の結果, 土壌水分センサーから得られた約3か月の平均含水比において, 大谷石粉末はw=33.411%, 混合土はw=15.231%, まさ土はw=7.020%となり, まさ土に大谷石粉末を混合したことでまさ土の保水性が改善されることが確認された. 屋外にて最大乾燥密度で締固めた大谷石粉末, 混合土, まさ土において, 大谷石粉末を加えた混合土は細粒分が増えるため保水性が向上し降雨により加水されると, まさ土よりも混合土の土中の水分量が増えることが確認された. 強度増加を期待して大谷石粉末をまさ土に添加したが, 降雨による加水を受け土中水分量が増え, 屋外地盤では強度が低下するといった結果となった.
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