2019 Fiscal Year Annual Research Report
水田の(復古化)のためのキョウチクトウを利用したジャンボタニシ駆除の有効性解明
Project/Area Number |
19H00312
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Principal Investigator |
池田 充 鹿児島大学, 教育学部, 再雇用職員
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | ジャンボタニシ / キョウチクトウ / 有害害虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景・目的】 ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)は水田の稲を食い荒らす有害生物である、産卵から孵化までのサイクルが約2~3週間と長いため短期的な駆除では効率的な駆除には至らない。そこで現行の農薬では不可能な持続性の長い薬効を求めてさまざまな植物由来成分を利用して水槽内で予備試験を行った結果、キョウチクトウの乾燥葉がタニシを死亡させることを発見した、しかも同時に飼育していたオタマジャクシやミジンコは生存し続けている個体もあった。しかし、より自然環境下に近い状態でタニシの増殖を抑制できるかは確認できていない。またより重要となるキョウチクトウの毒性の稲への残留も確認できていない。本研究では、キョウチクトウによるタニシの持続的な防除効果の実証と有毒成分の残留性を検証し、有害害虫の生息しない昔の水田環境に戻すための実験を行った。 【方法】 キョウチクトウの1cm各乾燥葉を1g区・2.5g区・5g区・10g区の添加区を設けバケツ稲に投入し栽培を5反復で行った。収穫後に米にキョウチクトウ残留毒(オレアンドリン)の残留濃度を依頼分析する。キョウチクトウ乾燥葉1cm各の添加材処理区を、同上区と対象区を設け15ℓ容器に水2ℓを入れジャンボタニシとオタマジャクシを各5匹ずつ同時に飼育し添加材を加え致死率の調査を行った、同じくジャンボタニシとメダカの試験区でも同様の添加処理区も設け死滅率の調査を行った。 【成果】 キョウチクトウ乾燥葉を投入したバケツ稲から収穫した米を10g区・2.5g区の残留毒(オレアンドリン)を分析した結果、残留毒性は検出されなかった。キョウチクトウの致死率調査においては10g区と5g区ではジャンボタニシとオタマジャクシは2日目にすべて死滅した、またメダカにおいても同様の結果だった。2.5g区ではメダカが2日目に死滅し3日目には1g区でもすべて死滅した、ジャンボタニシは2.5g区では2日目に1匹3日目に1匹4日目にすべて死滅した、1g区では3日目までは生存していたが4日目に4匹死滅したその後8日目まで生きつづけた個体もあった以上のことからキョウチクトウの乾燥葉はジャンボタニシを完全に死滅させる毒性の強い植物であることがわかった。また同時にメダカやオタマジャクシにも影響があることも確認できた、またキョウチクトウの添加量の調整で致死率を変えることが可能ではないかと示唆される。最も重要である米への残留毒性が検出されなかったのは大きい結果である、しかも添加量が10g区から検出されなかったことは、今後の駆除に大きな期待ができる。
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