2019 Fiscal Year Annual Research Report
ドラッグリポジショニングによる抗がん剤誘発性口内炎治療薬の開発
Project/Area Number |
19H00409
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Principal Investigator |
豕瀬 諒 大阪市立大学医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | ドラッグリポジショニング / 口内炎 / 有害事象自発報告データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景および目的】 抗がん剤誘発性口内炎は、抗がん剤治療の減量や中止の原因となる。しかしながら、根本的な治療薬は開発されていない。そこで、既存の薬剤の中から抗がん剤誘発性口内炎の治療に有効な薬剤を探索するドラッグリポジショニングに着目した。本研究は、有害事象自発報告データベース(DB)から抗がん剤誘発性口内炎の発現リスクを低下させる可能性のある薬剤をスクリーニングし、基礎研究により有効性を検証することを目的とする。 【方法】 下記の手順で抗がん剤誘発性口内炎治療薬を選抜した。 1. 候補薬のスクリーニング : アメリカ食品医薬品局が公開している世界最大の有害事象自発報告DBを利用した。口内炎の発現率が高く、多くのがん種に使用されている5-fluorouracil(5-FU)系薬剤を口内炎の原因薬剤として選択した。5-FU系薬剤の全ての併用薬の中から、併用することで5-FU系薬剤単剤よりも口内炎の発現リスクを低下させる可能性のある薬剤を選抜した。さらに、5-FU系薬剤の有無に関わらず、口内炎リスクを下げる可能性のある薬剤を有害事象自発報告DBから選抜した。 2. 候補薬をin vitroで選抜 : 1で得られた候補薬について、口内炎治療効果を検討した。ヒト口腔ケラチノサイト細胞に5-FUを添加し、候補薬の有無による細胞生存率をMTT法にて評価し候補薬をさらに選抜した。 【結果および考察】 有害事象自発報告DBによるスクリーニングにより8剤が候補薬として選抜された。ヒト口腔ケラチノサイト細胞に対して、5-FUおよび候補薬剤を添加し、細胞生存率を検討した結果、3つの候補薬剤で5-FU添加による細胞生存率の低下が軽減された。今後は、選抜された候補薬についてin vivo研究などを実施していく予定である。
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