2019 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下時の喉頭運動速度は舌骨上筋群の筋肉量を反映しているか
Project/Area Number |
19H00462
|
Principal Investigator |
中尾 雄太 兵庫医科大学, 医学部, 言語聴覚士
|
Project Period (FY) |
2019
|
Keywords | 嚥下造影検査 / 舌骨・喉頭運動速度 / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会である我が国において, サルコペニアによる嚥下障害が注視されている. しかし, サルコペニアによる嚥下障害の嚥下動態に関する報告は非常に少ない. 今回, サルコペニアによる嚥下障害の嚥下動態評価の予備的研究として, 嚥下造影検査の定量解析と舌骨上筋群の筋肉量の関連を検討した. 本研究では, 脳血管障害, 神経筋疾患, 頭頸部癌がない成人23名(平均年齢 : 72.3±9.2歳)に対して, 嚥下造影検査と頸部MRIを施行した. 嚥下造影検査は代償姿勢を用いない座位姿勢で施行し, 検査試料は40%バリウム水溶液5mlとした. 解析項目は, 嚥下したときの舌骨・喉頭の①挙上範囲, ②挙上時間, ③挙上速度とした. 頸部MRIは嚥下造影検査の1週間以内に実施し, 得られたMRIデータより舌骨上筋群の筋肉量を計測した. 統計学的解析として, 嚥下造影検査の解析結果とMRI解析結果の間でスピアマンの順位相関係数を検討した. 舌骨上筋群の筋肉量と有意な相関を認めた項目は, 舌骨挙上範囲(r=0.44), 舌骨挙上速度(r=0.47), 喉頭挙上範囲(r=0.52), 喉頭挙上速度(r=0.55)であった. 一方で, 舌骨挙上時間や喉頭挙上時間は有意な相関を認めなかった. 以上より, 嚥下時の舌骨・喉頭運動挙上速度は, 舌骨上筋群の筋肉量と関連することが明らかになった. 舌骨・喉頭運動が低下している場合, 舌骨上筋群の筋肉量が減少している可能性があるため, 注意が必要である. 今後は, サルコペニアによる嚥下障害患者において, 舌骨・喉頭運動速度が低下するか検討する予定である.
|
Research Products
(1 results)