2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H00468
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Research Institution | 京都府警察本部科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
濱野 悠也 京都府警察本部科学捜査研究所, 地方公務員
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 体液種識別 / DNAのメチル化 / 高精度融解分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
① 研究目的 犯罪現場等で採取される証拠資料(試料)は、何の体液由来なのかわからない場合が多い。従前の体液種識別では、指標としてたんぱく質の存在や酵素活性が検査されてきたが、洗剤や果汁等のプロテアーゼ活性を有する物質が混入すると、体液種を判別できない可能性があるという課題があった。本研究では体液種識別の指標としてDNAのメチル化を検出することで、従来の手法では検査不可能な場合に代替方法として用いることができる手法を開発することを目的とした。 ② 研究方法 倫理審査と被験者の同意を得た上で、実際の犯罪現場で比較的取り扱いの多い、精液(3名)、血液(6名)、唾液(7名)の実験試料を収集し、DNAを抽出した。そのDNAにバイサルファイト処理を行ったうえで、バイサルファイト処理後のDNA配列に対応したプライマーを設計し、DACT1領域に対してメチル化感受性高精度融解分析を行った。 ③ 研究成果 精液由来DNAの融解温度はおおむね74.5度であるのに対して、血液・唾液DNAはおおむね77.6度となり、その差は3度近くになることが分かった。また、無精子症(2名)の患者から収集した精液DNAについて同様の操作を行った結果、その融解温度74.5度と77.6度の二峰性を示した。精液と血液あるいは精液と唾液の混合体液のDNAについて同様の操作をしたところ、その混合割合に応じた同様の二峰性の融解温度が得られた。 本知見を応用することで、犯罪現場から採取された証拠資料(試料)について、そのDNAのメチル化状態から精液かそれ以外の体液なのかを明らかにすることができると考えられる。
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