2019 Fiscal Year Annual Research Report
膝周囲骨切り術後患者における歩行時の荷重緩衝能力に影響する因子について
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19H00489
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Principal Investigator |
瀬戸川 啓 兵庫医科大学, 医学部, 理学療法士
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 膝周囲骨切り術 / 歩行 / 大腿四頭筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、膝OAに対する外科的治療法として内反変形をきたした膝関節のアライメントを矯正することで、除圧、除痛効果が実現できる膝周囲骨切り術(around knee osteotomy : AKO)が注目されている。これらの手術は高度に変形した膝関節でも生理的な膝関節面を再建できるという利点がある。一方で、膝関節の生理的なアライメントの再建により膝にやさしい歩行パターンが再獲得できるかは不明な点がある。歩行時の大腿四頭筋の機能として、膝の屈曲を伴った遠心性収縮による力学的エネルギーの吸収とこれに伴う関節軟骨負荷の軽減がある。本研究ではAKO術後患者における歩行解析を実施し、荷重緩衝能力に影響する膝周囲筋の機能について調査を行った。 当院にてAKO手術後、約1年を経過したAKO術後患者15例(年齢64.6±7.4歳, BMI25.1±3.0kg/m^2)の自由快適歩行を床反力計(キスラー社製)と画像解析ソフト(DKH社製)を用いて計測した。また荷重応答期の大腿四頭筋の遠心性収縮の指標として負のピーク膝関節パワー(W/kg)並びに膝屈曲角度変化量(°)を算出した。膝周囲筋の筋機能の測定は、等速性筋力測定装置(バイオデックス社製)を用い、角速度60°/sec、180°/secにおける膝伸展ピークトルク体重比(Nm/kg)、およびトルク産生後0.18秒後のrate of torque development(RTD)(Nm/kg/sec)を算出した。得られた筋機能と歩行荷重応答期における負のピーク膝関節パワー、膝屈曲角度変化量との関連を、ピアソンの相関係数またはスペアマンの順位相関係数を用いて調査した。 結果、荷重応答期の膝屈曲角度変化量と角速度60°/secおよび角速度180°/secの膝伸展RTDに有意な正の相関を認めた(其々r=0.62, p<0.05, r=0.60, p<0.05)。その他の項目に有意な相関を認めなかった。 本結果は、AKO術後患者が歩行時の荷重緩衝能力を維持し、長期的な関節保護を実現する上で、大腿四頭筋の短時間の力産生能力が重要であることを示唆している。これらの知見は、効果的なAKO術後リハビリテーションを構築する上で有用である。
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Research Products
(4 results)