2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H00516
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下田 正弘 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50272448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蓑輪 顕量 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (30261134)
永崎 研宣 一般財団法人人文情報学研究所, 人文情報学研究部門, 主席研究員 (30343429)
大向 一輝 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (30413925)
宮崎 泉 京都大学, 文学研究科, 教授 (40314166)
納富 信留 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50294848)
Muller Albert 武蔵野大学, 経営学部, 教授 (60265527)
苫米地 等流 一般財団法人人文情報学研究所, 仏典写本研究部門, 主席研究員 (60601680)
藏本 龍介 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (60735091)
船山 徹 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (70209154)
高橋 晃一 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (70345239)
師 茂樹 花園大学, 文学部, 教授 (70351294)
齋藤 希史 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (80235077)
高岸 輝 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (80416263)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 仏教学 / デジタル・ヒューマニティーズ / SAT / IIIF / TEI / Unicode / 人文情報学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「デジタル時代に人文学はいかに遂行されうるか」というテーマについて、人文学諸分野が参照可能なデジタル知識基盤を仏教学から提供し、人文学全体が共同で未来を開く方法論を検討する〈統合デジタル研究環境〉を形成する。そのため、人文学におけるテキスト、画像、事物、行為等の研究対象の相違と、思想、言語、歴史、行動科学等の研究方法の相違を視野に入れ、両相違の相互作用から生まれる知識の多様性を、デジタル技術を通し効果的に保存し利用する多層的概念モデルを構築し、新大蔵経データベース(新SAT-DB)に実装して提供する。研究は、インド、チベット、中国、韓国、日本を研究領域とする仏教研究者、ギリシャ哲学、中国文学、日本美術史、文化人類学、さらに情報科学を専門とする分担者によって遂行し、欧米で最先端をゆく人文学デジタル知識基盤構築事業との構造的連携を視野に入れた成果実現をめざしている。 本年度は(1)デジタル技術進展に即した新たな開発環境への大規模な移行準備、(2)フランス碑文文藝アカデミーとの共同による『法宝義林』データとの連携、(3)Unicode最新版への対応、(4)「みんなで翻刻」との連携による日本仏典(大日本仏教全書・日本大蔵経等)の協働検索機能の提供、(5)TEIへの対応を実現し、TEI協会内部に設けた東アジア/日本専門分科会から国際ガイドラインの提言を行い採用されたこと、(6)人文学の方法論についてのシンポジウムを成功させたこと、が具体的成果である。 なお、研究代表者と分担者による『デジタル学術空間の作り方』に、本年度のデジタルアーカイブ学会賞(学術賞)が授与されたことも、本科研に深く関係する重要な成果として付しておく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人文学諸分野が参照可能なデジタル知識基盤を仏教学から提供し、人文学全体が共同で未来を開く方法論を検討する〈統合デジタル研究環境〉を形成するという基本計画は順調に推移している。ことに、Unicode, IIIF, TEIという、文字、画像、テキストに関わる国際標準構築に本プロジェクトが重要な役割を果たしている点は順調な国際貢献として評価されると判断する。 一方、コロナ禍のため、国際会議や研究会を対面で催すことが不可能になった。欧、米、アジアにわたる大規模な会議の場合、時差の関係でオンラインによる代替会議の開催ができずグローバルな同時的共同が困難になっている。このため主催者として予定していた、アジア初の大規模デジタルヒューマニティーズ国際会議であるDH2021を来年度に延期せざるを得なくなっている。このことは、本科研の中間成果の公表を、当初の計画よりも一年先延ばしするという計画変更に帰着した。 計画に進捗において課題となっているのは、上述の一点のみである。これも来年度に執行する予定であり、総じて、計画は順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の【進捗状況】において記した通り、コロナ禍のため、国際会議や研究会を対面で催すことが不可能になり、この影響を受けた、アジア初の大規模デジタルヒューマニティーズ国際会議であるDH2021Tokyo大会は、来年度に延期し、オンライン開催をも視野に入れた大会として準備を進めている。 これを除く基本計画については変更はない。さらに来年度を含め今後2年間の研究期間において、従来の計画に加え、(1)SAT大蔵経データベースの基幹データとなる大蔵経についての補足強化を図るための酉蓮社嘉興蔵をデジタル利用可能にする、(2)SAT大蔵経テキストデータベースの大規模TEI化を進め国際研究基盤として提供する、(3)関連する資料として東大図書館所蔵の貴重書鉄眼版の一部およびサンスクリット写本のデジタル利用を可能にする、というあらたな事業を推進する。
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Research Products
(76 results)