2019 Fiscal Year Annual Research Report
History of Comparative Religions Concerning Human Rights and Discriminations
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19H00525
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
磯前 順一 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60232378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 静 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (00447319)
小倉 慈司 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (20581101)
苅田 真司 國學院大學, 法学部, 教授 (30251458)
吉田 一彦 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (40230726)
鍾 以江 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (40735586)
久保田 浩 明治学院大学, 国際学部, 教授 (60434205)
山本 昭宏 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (70644996)
寺戸 淳子 国際ファッション専門職大学, 国際ファッション学部, 准教授 (80311249)
岩谷 彩子 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90469205)
小田 龍哉 国際日本文化研究センター, 研究部, 機関研究員 (90821744)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 宗教 / 差別 / 聖なるもの / 公共性 / 聖俗論 |
Outline of Annual Research Achievements |
聖俗論の批判的検討を軸に比較宗教史の観点から世界諸地域の宗教伝統を溯り、人権と差別との関係性を探る議論をおこなった。聖なるものと主体形成とのかかわりを新たな公共性論として提示する準備が整いつつある。2019年度当初の研究実施計画で計画していた、年間3回の研究会およびニューヨークでの国際会議を予定どおり実施できた。第1回研究会では研究協力者の川村覚文氏(関東学院大学専任講師)が情動的存在と国民について、研究分担者の上村がディアスポラと国民国家について、研究協力者の吉村智博氏(大阪市立大学都市研究プラザ特別研究員)が摂津役人村の存立構造について報告した。第2回は研究協力者の大村一真氏(同志社大学大学院)が公共空間と聖なるものについて、関口寛氏(四国大学准教授)が部落問題の成立について、西宮秀紀氏(愛知教育大学名誉教授)が浪波神社と坐摩神社について、研究分担者の寺戸がラルシュ共同体について報告した。第3回は研究協力者の佐藤弘夫氏(東北大学教授)が差別の発生と深化の構造について、舟橋健太氏(龍谷大学教授)がカースト制について、青野正明氏(桃山学院大学教授)が在日コリアン文化について報告した。ニューヨーク会議では、聖俗論と公共性論との接合について議論した。同会議には徐禎完氏(翰林大学日本学研究所所長)、酒井直樹氏(コーネル大学教授)、タラル・アサド氏ニューヨーク市立大学名誉教授)、ガヤトリ・スピヴァク氏(コロンビア大学教授)、ヘント・デ・ブリース氏(ニューヨーク大学教授)、平野克弥氏(UCLA教授)、マリオン・エガート氏(ルール大学ボーフム教授)、全成坤氏(翰林大学教授)を招聘し、日本からは研究代表の磯前と、国際日本文化研究センター教授の荒木浩氏、松田利彦氏、安井眞奈美氏、同准教授の楠綾子氏、同機関研究員のプラダン・ゴウランガ・チャラン氏、東京外国語大学教授の友常勉が参加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度当初の研究実施計画で計画していた、年間3回の研究会およびニューヨークでの国際会議を予定どおり実施できた。いずれも、聖俗論の批判的検討を軸に比較宗教史の観点から世界諸地域の宗教伝統を遡ることで、人権と差別との関係性を探り、公共空間のあらたな構築のありかたを模索するという本研究課題の目的に適う報告や議論が深められ、順調な進展といえる。年度当初に予定していた年間4回の編集会議も、研究会の前後などを利用して開催した。第1集の2021年の3月刊行に向けて、編集作業も順調に進んでいる。一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、年度末に計画した数回の海外調査の中止を余儀なくされた。問題の収束後、速やかに実施したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、計6回の研究会を開催する。第1回は伊勢神宮と禁忌との関係について、研究協力者の西宮氏が報告する。第2回は河井信吉氏(宗教学、金光教国際センター所長)を研究協力者に迎え、金光教と近代とのかかわりについて報告してもらう。第3回は研究協力者の吉村氏による近世身分論の総括をおこなう。第4回は仏教戒律と主体化の関係について、研究協力者の舩田淳一氏(日本中世史、金城学院大学准教授)が報告する。第5回は研究分担者の吉田(日本古代史・名古屋市立大学教授)が、日本仏教における女性の「救い」の言説史について報告する。第6回は植民地時代朝鮮における天照大神の問題を、研究協力者の青野氏が報告する。また、アメリカアジア学会で差別と公共性の問題についてパネル報告をおこなう。研究代表の磯前、研究分担者の小倉(日本古代史、国立歴史民俗博物館准教授)、鍾(思想史、東京大学准教授)、新たに研究分担者となる藤本(宗教史、国際日本文化研究センター機関研究員)が参加し、研究協力者として酒井直樹氏を招聘する。さらに日韓関係における差別問題の議論のため、研究分担者の小田(思想史、同志社大学嘱託研究員)と研究協力者の平野氏を、計3回韓国に派遣する。また成果物となる論集の刊行に向け、6回の編集会議を開催する。日本語版3冊と英語版3冊の計6冊の刊行を目標とする。日本語版第1集は、比較宗教学の観点から近代主権概念と差別との関係をテーマに内容を構成し、2021年3月末刊行を目指す。編集担当は研究分担者の上村、苅田(政治史、國學院大学教授)、寺戸、山本(日本近現代史、神戸市外国語大学准教授)と研究協力者の川村氏の5名。
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Research Products
(13 results)