2020 Fiscal Year Annual Research Report
History of Comparative Religions Concerning Human Rights and Discriminations
Project/Area Number |
19H00525
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
磯前 順一 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60232378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 静 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (00447319)
小倉 慈司 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (20581101)
苅田 真司 國學院大學, 法学部, 教授 (30251458)
吉田 一彦 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 名誉教授 (40230726)
鍾 以江 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (40735586)
久保田 浩 明治学院大学, 国際学部, 教授 (60434205)
山本 昭宏 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (70644996)
寺戸 淳子 国際ファッション専門職大学, 国際ファッション学部, 准教授 (80311249)
岩谷 彩子 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (90469205)
小田 龍哉 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (90821744)
藤本 憲正 国際日本文化研究センター, 研究部, 機関研究員 (90847203)
Pradhan Gouranga 国際日本文化研究センター, 研究部, 機関研究員 (40847224)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 比較宗教史 / 差別 / 人権と差別 / 被差別部落地域 / 差別の構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、世俗主義の批判的検討を軸に、比較宗教史の観点から世界各地域の宗教伝統について考察を行い、人権と差別との関係性を中心に活発な議論をおこなった。令和3年度では、当初計画していた研究成果の出版に関わる研究会として、年間6回の会議を計画通りに実施することができた。第1回では、磯前順一が「五条橋――異界への誘い」というテーマで発表し、吉田一彦、上村静、舟橋健太がコメンテーターをつとめた。第2回では「殺生――河原者の呟き」をテーマに、西宮秀紀、佐々田悠、川村覚文が、中世期の京都における差別についての発表と討論を行った。第3回では「病――救いをもたらす信仰」をテーマに、岩谷彩子、小田龍哉、鍾以江、山本昭宏が発表と討論を行った。第4回では「死と往生――救済という欲望」をテーマに、大村一真、小田龍哉、苅田真司が発表を行い、議論が行われた。第5回では「悪人正因説と平等――差別しているのは誰か」をテーマに佐々田悠、吉田一彦、小倉慈司が発表とコメントを行った。第6回では、本年度中に行われた研究の総合的な整理と議論が行われた。 また10月1日には、研究協力者の吉村智博氏を中心に、大阪にて被差別部落地域のフィールド調査を行い、浪速歴史展示室にて、磯前・吉村・浅居明彦(研究協力者/部落解放同盟浪速支部)による座談会が開催された。 さらに研究代表者の磯前が2022年3月17日に国際日本文化研究センターにて「居場所はできたかい? 震災と社会差別、東日本大震災11年」と題する研究発表を行い、日本、韓国、中国、アメリカ、イギリス、インドなど各地からの研究者が参加し、活発な議論が行われた。研究成果の一部として『差別の構造と国民国家』(磯前・吉村・浅居監修、苅田・川村・関口寛・寺戸淳子・山本編「シリーズ宗教と差別」第1巻、法蔵館、2021年11月)が刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、当初計画していた年間6回の研究会を予定どおり実施することができた。とりわけ、本年度は、これまでの研究成果の一部として『差別の構造と国民国家』(「シリーズ宗教と差別」第1巻、法蔵館、2021年11月)を予定通りに刊行することができた。本書は、聖俗論の批判的検討を軸に比較宗教史の観点から宗教伝統を遡ることで、国民国家形成と差別との関係性について新たな光を当て、人権と差別の研究分野に大きなインパクトを与えることが期待できる。なお、「シリーズ宗教と差別」は全4巻を予定しており、残りの3巻も本研究の研究成果として、研究分担者による原稿の執筆が順調に進んでおり、2022年度内に刊行できる準備が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、これまで行ってきた研究成果の取りまとめ及び公表を目的として、昨年度刊行された第1巻『差別の構造と国民国家』に続く、残り3巻の研究書刊行に向けた作業を引き続き行う。第2巻は『差別と宗教の日本史』(佐々田悠・船田淳一・関口寛・小田龍哉編)、第3巻は『差別の地域史』(小倉慈司・西宮秀紀・吉田一彦編)、そして零巻『清水物語 被差別信仰論』(磯前順一著)の各巻の編集者は、それぞれ数回にわたって編集会議を行うと同時に、原稿執筆と編集作業にかかり、年度内の刊行に向けて作業を行う。本研究におけるこうした成果は、これまで「聖なるもの」と「俗なるもの」の二分法で説明されてきた「宗教」と「社会」とのありかたの理解を、日本宗教史と世界諸地域の比較宗教史との学問の蓄積からあらたに問いなおし、現代社会における公共性の問題をとらえ直すことで、公共空間における差別と聖化の仕組みについての議論が可能になることが期待される。
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Research Products
(6 results)