2019 Fiscal Year Annual Research Report
Historical Changes in the Standard of Living and Socioeconomic Structures in Japan: Perspectives from Household Financial Diaries
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19H00593
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
北村 行伸 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70313442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 修 一橋大学, その他部局等, 名誉教授 (40051867)
友部 謙一 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (00227646)
宇南山 卓 一橋大学, 経済研究所, 教授 (20348840)
望月 政志 一橋大学, 経済研究所, 講師 (10575335)
丸 健 西武文理大学, サービス経営学部, 講師 (10721649)
高島 正憲 関西学院大学, 経済学部, 講師 (70816511)
佐藤 正広 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 教授 (80178772)
岡崎 哲二 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (90183029)
永瀬 伸子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (30277355)
大森 正博 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (40286000)
重川 純子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80302503)
松田 典子 文教大学, 教育学部, 講師 (40597530)
李 秀眞 弘前大学, 教育学部, 准教授 (30588926)
草処 基 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (90630145)
今泉 ひとみ (宝利ひとみ) 立教大学, 経済学部, 助教 (80804187)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 経済史 / 日本の家計 / 家計調査 / 農業経済調査 / パネルデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、主として昭和恐慌以後の日本社会の家計の変容を、『農家経済調査』や『家計簿』を基に追跡することを目的としている。農家であれ勤労者であれ、日本の家計は様々な経済ショックを経験してきている。本研究ではこれらの歴史上の経験を用い、長期のミクロ個票データをパネル化して分析することで新たな知見を得ることを試みる。従来は集計された統計データ(クロスセクションデータか時系列データ)から得られる観察により歴史的、政策的含意を得ていたが、同一家計が経済ショックの前後でどのような調整を行い、危機的な状況から抜け出したのか、あるいは危機を回避したのかを追跡することが可能になれば、政策的含意は遥かに厳密なものになる。具体的には、家計の生活水準の推移を、ミクロデータと各種の統計手法を用いて分析する。 これまで、家計の資産保有・資産移転の実態や家計の生活水準の歴史的な推移に関して、公的統計を用いて、その全体像を明らかにしてきた。これらの基礎の上に、ミクロ個票データをパネル化することで、その推移の特徴や多様性を把握し、より精緻な政策分析を行う準備をしているというのが現状である。 その準備の柱になるのが、『農家経済調査』や『家計簿』のデータベース化である。これは、過去の記録ではあるが、日本の家計の経てきた歴史的な経験を反映した貴重な第一級資料であり、現代のビッグデータ分析の手法などを用いて、重層的な社会経済分析を可能とするものである。当然ながら、『農家経済調査』や『家計簿』をデータベース化したものは、広く学界に公共財として公開し、幅広い利用に供していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
農林省第3期データ(1931~1941年)のデータベース化作業は2018年度に入力・校正作業が完了し、パネルデータとして公開可能となっている。2019年度からは農林省第4期データ(1942~1948年)のデータベース化作業に取り掛かり、2020年3月末までにデータ入力作業は38府県が完了した。校正作業については、6府県が完了し、4府県が作業中である。なお、校正作業の終わった6府県については、2020年3月末までにパネルデータ化作業が完了した。 2016年度より戦前・戦中・戦後期における一般家庭の家計簿をデータベース化する事業を開始し、家計簿の収集および収集した家計簿資料の整理をこれまで進めてきた。集まった家計簿については画像データ化作業を行い、2020年3月末までに104世帯分が完了した。また、画像データ化作業の終わった家計簿のうち、婦人之友社発行の家計簿(『羽仁もと子案 家計簿』、『高年生活の家計簿』、『予算生活の家計簿』)を対象にデータ入力作業を行い、1世帯・21冊の家計簿のデータ入力作業が2020年3月末までに完了した。 各研究分担者が関連した分野での論文出版や学会報告を行ってきたことは、本報告書に記載した通りであるが、直接関連した研究論文としては、農林省第3期データ(1931~1941年)のデータベースを用いた1本の研究論文が雑誌に掲載された(草処基・丸健・高島正憲・斎藤修(2020))。また、その他研究成果の発表として、現時点での家計簿データベース化の状況と今後の方針について、2019年6月22日に生活経済学会第35回研究大会(於:東洋大学)において、プロジェクトメンバー(報告:北村、重川、高島、永瀬、コメント:斎藤)による共通論題「家計簿から見た生活」をパネルディスカッションとして報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
『農家経済調査』に関しては、第4期(戦中期)の7県分(青森、福島、神奈川、福井、和歌山、島根、佐賀)のデータ入力作業を終えることにより、46府県分が完了する。残りの1県(広島)については2021年度にデータ入力作業(委託業務)を行う予定だが、余力があれば、本年度中に入力作業を遂行する。データの校正については6県分の校正を2020年度に終わらせて、都合12府県分が完成する。 家計簿データベースの進捗状況については、昨年度(2019年度)に続けて、1世帯・32冊分の家計簿のデータ入力作業(委託業務)を行う予定である。また、現時点で収集済の家計簿については、各家庭の履歴(家族構成・ファミリーイベントなど)についてアンケートを行う予定である。 それぞれのデータベース形成に対応して、研究会を開催し、情報交換を積極的に進め、互いの研究の進捗状況をチェックする。『家計簿』の集計の仕方や利用方法についても検討を行い、実証研究との整合性を追求する。この部分に関しては、家計経済の専門家である重川、松田、李が責任をもって行う。また、家計簿情報を公的統計と補完的に利用する方法を提案する。この部分に関しては、宇南山、永瀬、北村が責任を持つ。『家計簿』は基本的に個々の家計との合意の下に利用許可を得ているものであるが、個人情報を含むこともあり、現行の統計法と同様の管理を行ったうえで利用していく方針とする。
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Research Products
(17 results)