2019 Fiscal Year Annual Research Report
大規模災害からの復興の地域的最適解に関する総合的研究
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19H00613
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
浦野 正樹 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20160335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 公一 東北大学, 文学研究科, 教授 (00164814)
宍戸 邦章 大阪商業大学, 公共学部, 教授 (10460784)
室井 研二 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (20310013)
黒田 由彦 椙山女学園大学, 文化情報学部, 教授 (30170137)
高木 竜輔 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (30512157)
浅川 達人 明治学院大学, 社会学部, 教授 (40270665)
田中 重好 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (50155131)
川副 早央里 東洋大学, 社会学部, 助教 (50778660)
池田 恵子 静岡大学, 教育学部, 教授 (60324323)
大矢根 淳 専修大学, 人間科学部, 教授 (80281319)
岩井 紀子 大阪商業大学, 総合経営学部, 教授 (90223362)
吉野 英岐 岩手県立大学, 総合政策学部, 教授 (90305318)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 災害 / コミュニティ / レジリエンス / 原子力事故 / 津波 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、いくつかのワーキンググループにわかれた研究会活動を重ねながら、東日本大震災がもたらした社会的な課題や被災地がこれまで体験してきた課題を、定点観測ポイントとして暫定的に設定した市町村(たとえば、岩手県大槌町、宮城県気仙沼市、福島県いわき市などを含む10ヶ所程度の市町村)をフィールドワークの中心として調査研究を続け、1年目の研究報告の形で暫定的に集約した。また被災地全域にわたる各種復興指標に関するデータ解析に着手している。その他、この科研プロジェクトのメンバーが中心になって、フクシマ関連のシンポジウムを2020年1月下旬に行い、震災問題研究ネットワーク共催の震災問題研究交流会を3月に実施した(以下参照)。 2020.1.25.シンポジウム<フクシマを忘れない>第6回「あれから9年~わたしたちはフクシマを忘れない---帰還しないと決断したふるさととの絆---」を開催(戸山キャンパス33号館6階第11会議室にて)。 2020.3.20-21.第6回震災問題研究交流会開催(震災問題研究ネットワークとの共催/早稲田大学戸山キャンパス33号館3階第1会議室にて)。セッションの内容は、【災害ボランティアと地域防災の担い手、及びその育成】【原子力災害と避難生活/復興への課題をめぐって】【復興支援と被災地住民の生活選択】【新型コロナウィルス感染症への対応】の4つのセッションと書評セッション【震災と学校のエスノグラフィー】に加え、3つの科研調査セッション[災害過程の各段階における達成指標/復興指標に関して] [現地調査を踏まえた災害過程/復興過程に関して][復興政策及び科研調査全般に関して]を行った。上記のセッションでは、科研費研究メンバーが運営及び報告の中核として関与した。 それ以外に10回程度の研究例会を、関連する研究センターや学会との共催などの形で開催している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、東日本大震災を対象として社会学領域で蓄積してきた復興に関する社会調査の成果に基づき、災害復興の地域的最適解を明らかにすることを目的に据えているが、2019年度は、災害復興には地域的最適解があるという仮説命題の検証のために、震災に関する社会学的研究のアーカイブを充実させ、蓄積された研究成果の上に立って復興の地域的最適解に関する仮説を構築し、体系的な社会調査を設計する準備的な作業を行った。 具体的には、①これまでの東日本大震災に関する社会学的研究のアーカイブの構築、②復興達成度調査の指標の作成などを行い、③復興状況の継続的確認のための現地調査を実施した。調査研究にあたっては、①リアス式海岸・市街地型、②リアス式海岸・農漁村型、③平地・市街地型、④平地・農漁村型、⑤原発・避難先型、⑥原発事故・避難元型、の6つの地域類型を設定しているが、そのなかで、①~④については、それぞれ2~3の自治体を、⑤⑥についてはそれぞれ1つの自治体を選定して、10箇所程度の自治体をとりあげて現地調査を進め、それらを暫定的なレポートとして集約した。これらの自治体において復興過程、復興手法、現在の到達状況を実証的に調査研究し、同時に住民および地域リーダー層を対象とした復興達成度調査を今後実施する予定であるが、2019度はそれと並行して復興の評価基準を作成する計画を立てており、その点はおおむね順調に計画が進んでいる状況である。なお、研究会の実施についても、研究代表者・研究分担者・研究協力者による全体会を年通算5回実施しており、それ以外にも10回程度のワーキンググループ単位などでの研究例会を、関連する研究センターや学会との共催などの形で開催しており、緊密な研究体制を構築することができた状態である。従って、研究組織という点でも充分な体制をつくれてきているという点で、この段階ではおおむね順調と評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的のひとつは、東日本大震災を対象として発災以来社会学が蓄積してきた復興に関する社会調査の成果に基づき、災害復興の地域的最適解を明らかにすることであるが、本年度も昨年度に引き続き、災害復興には地域的最適解があるという仮説命題の検証のために、震災に関する社会学的研究のアーカイブを充実させ、蓄積された研究成果の上に立って復興の地域的最適解に関する仮説を構築し、体系的な社会調査を設計する準備的な作業を行う。具体的には、①これまでの東日本大震災に関する社会学的研究のアーカイブの構築および公開、②研究者への調査の実施、③復興達成度調査の指標の作成、調査票の設計・作成、などをさらに行ったうえで、④復興状況の継続的確認のための現地調査の実施を計画している。 本年度の調査研究は、これまでの社会学が蓄積してきた震災研究に基づいて構成した地域類型について、昨年度の成果(復興の進捗状況のサーベィと現地調査を実施し、それを部分的に纏めていく作業を行った)を踏まえながら、市町村が作成している各種資料やアーカイブを追加入手・検討して充実させ、さらにそれぞれの地区の課題や復興に関わった諸団体への聞き取りを実施して、復興期における重要な局面とその転換についての分析を続けることである。さらに現地調査と復興指標に関する統計データの解析などを継続していくとともに、これらの自治体における復興過程、復興手法、現在の到達状況を実証的に調査研究し、同時に住民および地域リーダー層を対象とした復興達成度調査の結果に基づき、復興の評価基準を作成する計画を立てている。 なお、研究会としては、研究代表者・研究分担者・研究協力者(以下「プロジェクトチームと略称」)による年通算5回の会議を遠隔リアルタイム会議などの方式を取り入れながら実施する予定である。また、国内外への情報発信をWebなどの方法で実施していく。
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Research Products
(11 results)