2019 Fiscal Year Annual Research Report
彗星塵とされてきた宇宙塵は彗星起源なのか?:分析と分光観測からのアプローチ
Project/Area Number |
19H00725
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野口 高明 九州大学, 基幹教育院, 教授 (40222195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤谷 渉 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (20755615)
薮田 ひかる 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (30530844)
臼井 文彦 神戸大学, 理学研究科, 特命助教 (30720669)
大坪 貴文 国立天文台, 天文データセンター, 特任研究員 (50377925)
山口 亮 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (70321560)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 南極微隕石 / 顕微拡散反射スペクトル / TEM / nanoSIMS / STXM-XANES / 中間赤外 / 分光観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
顕微可視分光装置を本研究費で購入した。まずは,標準試料となる各種の隕石と鉱物の小片の拡散反射スペクトルの測定を開始した。Ivuna CI chondrite, Orgueil CI chondrite, Murchison CM2 chondrite, Allende CV3 chondrite, Renazzo CR2 chondriteから,今後分光分析を予定しているGEMSを含む南極微隕石(AMMs)の典型的なサイズである50 micron程度の欠片を用意した。また,San Carlos産カンラン石とPakistan産の低Ca輝石の欠片も用意した。これらを白金の台の上に置いて,反射スペクトルの測定を行った。スペクトルのバックグラウンドを引くために研磨されたアルミニウムブロックを使った。 GEMSを含む多くの南極微隕石(AMMs)の超薄切片を,系統的に透過電電子顕微鏡(TEM)を用いて観察・分析を行った。特に,GEMSの化学組成を大量に測定した。また,超薄切片中のカンラン石と輝石の比率を求めるため,切片中の全粒子を分析し,ストイキオメトリの良いものを残しそれらの比率を求めた。また,GEMSに似た細粒マトリックスを含むAsuka 12169 CMコンドライト隕石についてもTEM観察・分析を行った。 GEMSを含むAMMsの細粒マトリックスの高空間分解能二次イオン質量分析(nanoSIMS分析)を,2個のAMMsの超薄切片を用いて行うことができた。測定面積が狭いにもかかわらず,1つの試料からはプレソーラー粒子を発見することができた。硫黄包埋法で作成したAMMsの超薄切片を用いて,走査透過X線顕微鏡を使ったX線吸収端微細構造(STXM-XANES)分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
顕微可視分光の拡散反射スペクトルに明らかなアーティファクトが見られるため原因を検討中である。拡散反射光は微弱であるため,迷光の影響が大きいことが判明した。さらに,測定の問題点をより明らかにするため,グルノーブルアルプ大で系統的にバルク試料の反射スペクトルを測定されているPierre Beck博士に相談し,彼らが測定済みの隕石試料と,バルク試料の反射スペクトルの標準試料であるスペクトラロンをいただいた。小惑星や彗星の赤外分光観測はすばる望遠鏡マシンタイムが配分されないという想定外の問題が起きたため,初年度は過去の分光データの解析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
迷光の影響をできる限り減らすため,顕微可視分光器を暗幕内に設置する予定である。迷光を大幅に減らした状態で,拡散反射スペクトルに見られるアーティファクトの原因を解明し,Pierre Beck博士にいただいた試料の顕微可視反射スペクトル測定を行う。さらには,AMMsの分光分析を行う。初年度に続き,GEMSを多く含むAMMsのTEM分析,nanoSIMS分析,STXM-XANES分析を続ける。また,赤外分光観測を行う。
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