2021 Fiscal Year Annual Research Report
彗星塵とされてきた宇宙塵は彗星起源なのか?:分析と分光観測からのアプローチ
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19H00725
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野口 高明 京都大学, 理学研究科, 教授 (40222195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤谷 渉 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (20755615)
薮田 ひかる 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (30530844)
大坪 貴文 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (50377925)
山口 亮 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (70321560)
上塚 貴史 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (30613509)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小惑星 / リュウグウ / 宇宙風化 / 岩石鉱物学的特徴 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年6月から1年間の予定で,小惑星リュウグウからの回収試料の分析を開始し,本年度はその途中まで行った。研究代表者は,「砂の物質班」の班長として研究を統括すると共に,代表者自信も研究を遂行中である。砂の物質分析班の研究目標としては,3つ考えていた。1番目は,C型小惑星の宇宙風化(大気のない天体表面が徐々に変化していく現象)の解明,2番目は,微小粒子を使って小惑星リュウグウの岩石鉱物学的特徴の多様性の程度の解明である。3番目は,リュウグウ試料からリュウグウ以外の天体起源の物質を発見し,小惑星リュウグウに衝突していた物質について知ることである。しかし,当初予想とは異なり,当班には,初期分析全体のわずか0.7%というごく少量の試料しか配布されず,大きな制約があるなかでの研究となった。また,小惑星イトカワでは半分以上の粒子が宇宙風化組織を持っていたのに対して,小惑星リュウグウでは6-7%が宇宙風化組織を持っているにすぎないことが研究を行っていく上で分かっていった。 その岩石鉱物学的特徴と宇宙風化についてまとめた論文を2022年1月に,研究代表者がトップオーサーの論文としてScience誌に投稿したが,想定外のことにリジェクトされた。そこで,Nature Astronomy誌に,小惑星リュウグウの宇宙風化に特化して論文を根本的に書き直し再投稿をしようとしているところである。 研究分担者のうちで物質分析の研究者は,それぞれの研究グループではやぶさ2資料の分析をやはり継続中である(山口:P2K班班員として研究中,藤谷:化学班班員として研究中,最初の論文はScience誌に掲載された,薮田:IOM班班長として研究中,最初の論文をScience誌に投稿中)。 分光観測研究者はやはりコロナの影響で観測ができず,過去のデータの解析を行った(大坪)り,TAO望遠鏡の装置開発を行った(上塚)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ごくわずかな試料から,多くの岩石鉱物学的特徴を引き出すことができたという点では,順調に研究は進んだと言える。しかし,第1弾論文として投稿した論文がリジェクトされてしまい,再投稿に向けて論文の再構成を行っている状況であり,全体としては概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,Nature Astronomy誌から小惑星リュウグウの宇宙風化論文を出版することが最大の目標である。そして,5月末に初期分析が終了した後は,砂の物質分析班としての第2弾以降の論文の投稿を行いたい。 これらが一段落付いたところで,再び南極宇宙塵の凍結乾燥法による試料回収を再開し,時間があればそれらの分析を行いたい。 と共に,観測が可能になった場合は,小惑星や彗星の分光観測を行う。もし,観測が可能な状況にならなかった場合は,過去のデータの解析を行う。また,TAO望遠鏡の機器開発を進める。
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Research Products
(3 results)