2021 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子コア型ハイブリッドデンドリマーの異方的形状動的変化に基づく協奏機能の誘起
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19H00845
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
蟹江 澄志 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (60302767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 正樹 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (40746111)
三友 秀之 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (50564952)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 有機無機ハイブリッド / ナノ粒子 / デンドリマー / 自己組織化 / ナノロッド |
Outline of Annual Research Achievements |
無機ナノ粒子は,プラズモン共鳴,量子効果,磁気特性など,実に魅力的な性質を示す.これらは,孤立したひとつの「情報」として捉えられる.一方,来たるべき Society5.0 の世界では,「情報」の,動的・有機的な書き換え技術が求められる.すなわち,さまざまな刺激により,動的かつ可逆的に「情報」を書き換え可能とする材料研究が求められる.ナノ粒子材料の視点に立てば,ナノ粒子の「情報」が,外部刺激により増強,消失,変換,伝搬できれば理想的である.本研究では,ナノ粒子表面でのデンドロンのダイナミズムに由来したハイブリッドデンドリマーへの異方的形状の誘起によりナノ粒子の「情報」を動的に外部制御する手法を開発することを目的とした. 本研究では,次の5つの研究項目を掲げ研究を遂行する.【1】機能性無機ナノ粒子をコアとするハイブリッドデンドリマーの設計と合成.【2】オリゴチオフェン型液晶性デンドロンの設計,合成,評価.【3】ハイブリッドデンドリマーからなる液晶性自己組織構造構築・制御法開拓.【4】先端計測によるハイブリッドデンドリマーの液晶性自己組織構造解析.【5】ハイブリッドデンドリマーの材料特性解析・制御. 本年度,【1】では,分担者松原と連携し,金,量子ドット,Fe3O4, FePt 球状ナノ粒子をコアとする“液晶性有機無機ハイブリッドデンドリマー”を設計・合成した.一方,分担者三友は主に,COOH 基含有チオールを内部シェルとした単分散金ナノロッドの調製 および精製手法の開拓を行った.【2】では,液晶性デンドロンの精密有機合成を行った.また,【3】では,気-液界面でのナノ粒子組織配列構造形成法の開拓を行った.さらに【4】では,小角放射光散乱測定を用いたナノ組織構造の解析を行い,ナノ粒子特性と自己組織構造の相関について精査した.【5】では,レオロジー特性評価を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,本年度は特に,概要欄に示した通り,【1】機能性無機ナノ粒子をコアとするハイブリッドデンドリマーの設計と合成.【2】オリゴチオフェン型液晶性デンドロンの設計,合成,評価.【3】ハイブリッドデンドリマーからなる液晶性自己組織構造構築・制御法開拓.に取り組んだ.【4】先端計測によるハイブリッドデンドリマーの液晶性自己組織構造解析.【5】ハイブリッドデンドリマーの材料特性解析・制御.について研究医開発を行った. その結果,いずれも当初の予定通り順調に合成.評価を進めることができた.磁気誘導加熱による液晶相転移については,Case Wastern Reserve University の Prof. Anna Samiya との国際共同測定体制を構築し,共著成果を報告するなど,当初の予定を超えた成果も得られた.この連携は,ハイブリッドデンドリマーの熱的特性評価を加速するものであり,今後のさらなる進展が見込まれる.また,オリゴチオフェン方デンドリマーをナノ粒子表面へ修飾することにより,特異な自己組織構造の付与が達成でき,さらには,ナノ粒子固有の特性の制御が可能となるであろうという予備的知見を得ることができた.得られた成果については,現在,特許申請に向け,具体的な打ち合わせを行っている.以上の状況から本研究は概ね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,本研究の最終年度である.これまでの研究遂行により得られたハイブリッドデンドリマーの特性評価を精力的に遂行する.そのことにより,特に,研究項目【3】ハイブリッドデンドリマーからなる液晶性自己組織構造構築・制御法開拓.【4】先端計測によるハイブリッドデンドリマーの液晶性自己組織構造解析.【5】ハイブリッドデンドリマーの材料特性解析・制御.の推進に向け,研究開発に取り組む予定である. また,ナノ粒子として,磁性粒子,金,量子ドットを用いたハイブリッドデンドリマーについて,現在,論文投稿に向け,具体的に執筆をはじめている.研究期間中に公表することで,本研究により得られた成果の公表を精力的に推進する予定である.
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Research Products
(9 results)