2019 Fiscal Year Annual Research Report
Quantum-Annealing Assisted Innovative Material Informatics Infrastructure
Project/Area Number |
19H01095
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 広明 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (40205480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 朋永 東北大学, 工学研究科, 教授 (50344164)
阿部 圭晃 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (40785010)
菊川 豪太 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (90435644)
佐藤 雅之 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50781308)
撫佐 昭裕 東北大学, サイバーサイエンスセンター, 客員教授 (40639655)
觀山 正道 東北大学, 情報科学研究科, 特任助教 (60639095)
大関 真之 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (80447549)
小松 一彦 東北大学, サイバーサイエンスセンター, 准教授 (50813888)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マテリアルインフォマティクス / 量子アニーリング / クラスタリング / 高分子材料シミュレーション / 高性能計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高分子材料設計と高性能計算基盤の2つのグループを構成して研究を行った。高分子材料設計グループでは、航空機構造材料として用いられる架橋高分子材料の架橋ネットワーク構造の形成と硬化後の材料物性評価のために、量子化学計算の反応パラメータを導入した反応モデルをMDシミュレーションに取り入れた。これを用いて硬化反応後の材料に対する物性解析を行った結果、ヤング率や熱伝導率について、実験値を高い精度で予測できることがわかった。高性能情報処理基盤グループでは、まず、MDシミュレーションの高速化を行った。ベクトル型スーパーコンピュータSX-Aurora TSUBASAを用いて、プログラムの演算特性を解析した結果、FFT処理とEwald法の処理の演算コストが高いことが判明した。FFTについてはベクトル演算の効率が高い一次元多重FFTを導入し、Ewald法はベクトル化率を向上させる実装方式を考案した。その結果、それぞれの演算性能が20倍と7倍に向上した。逆問題解析基盤の実現のためには、ベイズ的最適化と量子アニーラによるサンプリングを組み合わせたブラックボックス最適化の実装と評価を行った。量子アニーラの極めて短時間で大量の候補解のサンプリング能力が、明示的に目的関数が与えられていない最適化においても有効であることが確認できた。さらに、新規アルゴリズムの開発により量子アニーラで扱える問題規模を大きくすることができるようになった。また、無数の候補材料の組み合わせの中から、高速に目的に適した材料物質を選定する、高性能大規模データクラスタリング技術の検討を行った。その結果、量子アニーリングによる凝集型階層クラスタリング法は最適なクラスタ数が不明なデータに対して威力を発揮する一方、最適クラスタ数が決定している場合には従来の古典的アルゴリズムによるクラスタリング法が優れていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究高分子材料設計では硬化反応後の材料に対する物性解析においてヤング率や熱伝導率について,実験値を高い精度で予測可能になることを確認したことや、分子動力学シミュレーションの高速化手法に関する研究では、プログラムの詳細な解析により、高コスト計算の特定とそのベクトル処理による高速化に着手できたことは、概ね計画通りに研究が進捗していると考えている。また大規模データクラスタリングの開発においては、量子アニーリングと従来型アルゴリズムの利点・欠点を詳細に分析し、両者を効果的に組み合わせた新たなクラスタリング手法のアイディアが生まれた。このことは高速に目的に適した材料物質を選定する多段階のスクリーニングを実現する方法へとつながることが期待できる。 以上のことから、本研究は概ね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も引き続き、高分子材料設計サブグループと高性能情報処理基盤サブグループが密接に連携し、アプリケーションのそれを支える高性能情報処理基盤のコデザインを推進ししていく。また、海外の関連研究者の招聘などを計画し、研究討論会を開催するなど、本研究の国際的なプレゼンスを高め、併せて国際共同研究へ展開するための様々な取り組みを行う。
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Research Products
(28 results)