2019 Fiscal Year Annual Research Report
誤り許容・高バンド幅の光通信を用いた不確実容認コンピューティング
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19H01106
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
鯉渕 道紘 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 准教授 (40413926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 浩嗣 広島大学, 工学研究科, 教授 (30281075)
天野 英晴 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (60175932)
松谷 宏紀 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70611135)
石井 紀代 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (90612177)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 相互結合網 / Approximateコンピューティング / 光通信 / 計算機システム・ネットワーク / データセンター |
Outline of Annual Research Achievements |
不確実容認コンピューティングの実現に向けて、(1) 相応のビット誤りを許容することで高バンド幅低遅延の光通信、(2) その光通信を用いた不確実容認計算機システム、(3) 不確実容認計算機システム上で動作するアルゴリズミクスという3点の要素技術を研究した。 (1)の技術探求においては、不確実な光ボード間データ転送を対象として、光伝送特性を評価するためのシミュレーション環境の構築を進めた。(2)では、通信データの符号化手法を開発し、その評価のためのシミュレーション環境を構築した。さらに、通信パターンが事前に予測できない計算ジョブのスケジューリングとマッピング手法を開発し、システム利用率の向上とジョブ自体の高速化を両立できることを示した。(3)では、不確実性を有するアプリケーションとしてBloom filterと分散深層学習の研究をすすめた。Bloom filterは大量のデータを登録できるデータ構造である。Bloom filterは与えられた質問データに対して、登録済みかどうかを極めて高速に判定できるが、一定の確率で偽陽性が生じる点で不確実性を有する。本研究では、データの登録を均一化することにより、Bloom filterの高速化と偽陽性の確率を小さくするハードウェアアルゴリズムを考案した。分散深層学習では、並列計算アルゴリズムを改良することで、各計算ノードが計算した勾配情報を集約し、パラメータ最適化した。具体的には、計算ノード間を接続する FPGA ベースの 10GbE ネットワークスイッチにて勾配情報を集約する技術を提案し、並列計算の高速化を達成した。 以上の成果を査読付き論文誌/国際会議6件、招待講演3件にて公開し、さらにApproximateコンピューティングの世界的権威であるLuis Ceze ワシントン大学教授との討論会を開催するなど積極的に情報発信を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不確実容認コンピューティングを構成する3つの要素技術であるフォトニクス、システム、アルゴリズミクスに関して目標を達成できた。特に、アルゴリズミクスに関しては、Bloom filter、分散深層学習の両方についてFPGAを用いた実機上で動作し、定量的な評価により有効性を提示することができた。さらに、複数の共同研究者による共著査読付き論文の発表など、要素技術間の連携も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りに進捗しているため、計画通り残り3年の研究を進める予定である。不確実容認コンピューティングを実現するためには、アプリケーション特化型のクロスレイヤでの設計が重要となる。この設計は、正確な処理が必要な計算はフォトニクス利用時に低速システム動作させ、近似が可能な計算は高速システム動作させる点に大きな特徴がある。そこで、アルゴリズミクスのシステム上での挙動およびQuality of Result(QoR)を明らかにする点を重視する。 なお、ワークショップmini CANDAR (International Symposium on Computing and Networking) 2020において、本課題に関するワークショップを開催予定(2020年5月29日)であった。しかし、新型コロナウイルスの感染状況を鑑み、中止となった。ただし、本課題の成果を広く周知し、広く議論することは重要であることから、同様の情報発信の準備を進める予定である。
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Research Products
(14 results)