2020 Fiscal Year Annual Research Report
Expansion of microbial blooming on glaciers induced by abrupt environmental changes
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19H01143
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
竹内 望 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (30353452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸島 司郎 京都大学, 野生動物研究センター, 名誉教授 (60183802)
服部 祥平 東京工業大学, 物質理工学院, 研究員 (70700152)
瀬川 高弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (90425835)
米澤 隆弘 東京農業大学, 農学部, 准教授 (90508566)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 雪氷生物 / 氷河 / 窒素循環 / 雪氷藻類 / アラスカ |
Outline of Annual Research Achievements |
当初2020年度に予定していたアラスカ氷河の野外調査は,2021年度に予算繰り越しを行い実施する計画を立てていた.しかしながら,新型コロナ感染症の流行は収まることはなく,2021年度も海外野外調査を実施することはできなかった.その代わり,国内の積雪表面を対象に野外調査を実施し,さらに過去に採取された試料の分析をすすめた.国内の積雪では,雪氷藻類の繁殖が進んだ表面には,藻類お捕食者となるクマムシやワムシも多く存在することを発見し,論文で発表した(Ono et al., 2021).またアラスカの赤雪の分析を進めたところ,赤雪細胞の表面に大量の多糖類が分泌されていることが明らかになり,この多糖類が細胞の凝集効果を持っていることが明らかになり,論文に発表した(Folika et al., 2020).氷河表面の暗色化の原因物質の一つ,クリオコナイトについても過去に採取したサンプルの分析を進めた.クリオコナイトの粒構造分析を行なった結果,内部では嫌気条件となっており,そこに繁殖する嫌気的細菌類が特に窒素循環に重要な役割を果たしていることが明らかになった(Segawa et al., 2020).中央アジアの氷河ではアルベドの時空間変動が,クリオコナイトの表面量の変動で説明できることが明らかになった(Yue et al., 2020). さらに,クリオコナイトには放射性元素が特異的に濃縮していることも明らかになった(Baccolo et al., 2020).2021年度に繰り越した予算は,研究遂行に必須である雪氷試料の化学成分を分析するイオンクロマトグラフィーが故障したため,一部を新しく購入するために利用した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画していたアラスカ氷河の調査は,2020年度および2021年度にわたって新型コロナ感染症流行のため実施できなかった.したがって,当初目的としていたアラスカ氷河の微生物の繁殖過程に関しては,十分なデータを現時点で得ることができず遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
海外の氷河調査の機会が得られなかったものの,国内積雪の調査および過去の試料分析等で比較的多くの成果をあげることができた.藻類モデル構築についても,順調に進んでいる.今後は,2022年度のアラスカ氷河の調査が実施できることを見込んで,藻類モデル・アルベド物理モデルの検証に目的を絞り込みながら,残りの期間で研究目的を達成する計画である.
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Research Products
(31 results)