2019 Fiscal Year Annual Research Report
名取新宮寺一切経本を中心とした『続高僧伝』の総合的研究
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19H01191
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 智寛 東北大学, 文学研究科, 准教授 (10400201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐竹 保子 大東文化大学, 外国語学部, 特任教授 (20170714)
冨樫 進 東北福祉大学, 教育学部, 講師 (20571532)
川合 安 東北大学, 文学研究科, 教授 (30195036)
堀 裕 東北大学, 文学研究科, 教授 (50310769)
長岡 龍作 東北大学, 文学研究科, 教授 (70189108)
斉藤 達也 国際仏教学大学院大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (70813731)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 続高僧伝 |
Outline of Annual Research Achievements |
新宮寺本『続高僧伝』現存17巻のうち、東北歴史博物館で展示中の巻第五を除く16巻の調査、撮影を終えた。同時に、新宮寺一切経の中から、道宣の著作や玄奘関係の資料など関連する経巻の一部について、調査、撮影することができた。『続高僧伝』玄奘伝読書会を計6回開催し、伊爛拏国条(大正蔵本p.452中に相当)までの翻刻、校正、訳注を終えた。
以上は研究代表者および分担者共同での研究であるが、個別の論文、研究発表から主な実績を記せば以下の通りである。齋藤智寛「『続高僧伝』訳経篇に見える三教関係記事について」では、『続高僧伝』の冒頭に位置する訳経篇における儒教、道教関連の記事について考察した。その結果、訳経篇では冒頭に儒教に対する仏教の優越を示す記事が収載されていること、紀国寺慧浄伝と玄奘伝に掲載される道教との論争が『老子』解釈史とも連動する貴重な資料あることが明確になった。さらに訳経僧が三教論争に関わるのは、その学識や政権との距離から言って自然な趨勢であったこと、また『高僧伝』『宋高僧伝』の訳経篇には三教論争の記事が見えず、『続高僧伝』は儒道二教との対立が深刻な時代を反映していることを指摘し、結論とした。
2019年12月15日(日)東北大学において開催した第1回研究集会では、齋藤智寛が「『続高僧伝』研究の諸問題―読解の視点と資料価値―」と題する研究発表をおこない、①律僧はなぜ史僧・護法僧になるのか、②道宣の編纂方針が読み取れる部分について、③多様な実践の記録、④推敲の背景、の4点につき、『続高僧伝』研究における基礎的な問いについて、研究分担者と問題共有をすると共に、参加者から貴重な助言を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新宮寺本『続高僧伝』現存17巻のうち、東北歴史博物館で展示中の巻第五を除く16巻の調査、撮影を終えた。同時に、新宮寺一切経の中から、道宣の著作や玄奘関係の資料など関連する経巻の一部について、調査、撮影することができた。 『続高僧伝』玄奘伝読書会を計6回開催し、伊爛拏国条(大正蔵本p.452中に相当)までの翻刻、校正、訳注を終えた。 2019年12月15日(日)東北大学において第1回研究集会を開催し、齋藤智寛が「『続高僧伝』研究の諸問題―読解の視点と資料価値―」と題する研究発表をおこなった。 以上の活動は、2019年度初頭に作成した交付申請書の「本年度の研究実施計画」における記載内容をほぼ計画通りに実施したものである。ただし、新宮寺の調査では経巻の調査・撮影に注力したため、仏像や什器、周辺の板碑などの調査が不十分なままであった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度においては、新宮寺本『続高僧伝』のうち、東北歴史博物館にて展示中の巻については調査・撮影を行うことが出来なかった。また、2019年度作成交付申請書の「本年度の研究実施計画」における記載内容のうち、新宮寺で仏像や什器、周辺の板碑などの調査も不十分なままである。この2点は早急に実施しなければならないが、新型コロナウィルス流行の状況もあり、2021年度以降の実施も視野に入れ慎重に判断したい。なお、当面の感染症対策として、本年4月の読書会はオンライン上で開催しており、次回も同じ方式を採る予定である。今年度はあと5回の読書会と、1~2回の講演会および研究集会を開催予定だが、安全に留意して開催方法を工夫したい。
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Research Products
(17 results)