2021 Fiscal Year Annual Research Report
名取新宮寺一切経本を中心とした『続高僧伝』の総合的研究
Project/Area Number |
19H01191
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 智寛 東北大学, 文学研究科, 教授 (10400201)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐竹 保子 大東文化大学, 外国語学部, 特任教授 (20170714)
冨樫 進 東北福祉大学, 教育学部, 准教授 (20571532)
川合 安 東北大学, 文学研究科, 教授 (30195036)
堀 裕 東北大学, 文学研究科, 教授 (50310769)
長岡 龍作 東北大学, 文学研究科, 教授 (70189108)
斉藤 達也 国際仏教学大学院大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (70813731)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 続高僧伝 / 日本古写経 / 新宮寺一切経 / 道宣 / 玄奘 |
Outline of Annual Research Achievements |
隔月で読書会を開催し、新宮寺本『続高僧伝』巻四・玄奘伝について、翻刻、校勘、日本古写経諸本校訂本作成、古写経系テクストと版本系テクスト対照表の作成を、第21紙13行(大正蔵本、454頁下、第27行に相当)まで進めた。 併せて、同範囲の日本語訳注を作成した。読書会と並行して、翻刻、校勘の方針の見直しと、新たな方針にもとづく既作業分の修正と未作業分の実施について分担を定め、2022年度における全体の調整および2023年度(最終年度)における研究報告書刊行に備えることとした。 2020年12月20日(日)には、第二回研究集会「写本から刊本へ」をZoomミーティングによるオンライン公開研究会として開催し、国際仏教学大学院大学准教授の池麗梅氏による講演「『続高僧伝』と刊本大蔵経」、研究分担者・斉藤達也による研究報告「新宮寺本『続高僧伝』巻八慧遠伝のテキストについて―諸本校異から見た特徴―」を実施した。 2021年10月17日(日)には、第三回研究集会「僧伝読解の実際」をZoomミーティングによるオンライン公開研究会として開催し、上海師範大学副教授の王招国(定源)氏による講演「『高僧伝』は誰によって修訂されたのか―諸本校異から見た特徴―」、研究代表者・齋藤智寛による研究報告「『続高僧伝』序解釈の諸問題」を実施した。 これら二回の研究集会を通じて、新宮寺本巻八は興聖寺本に近く、同時に独自要素も有すること、また『続高僧伝』序についての先行訳注は論旨の理解に問題があることが解明された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
読書会形式での訳注作成や、公開講演会を含む年に一回の研究集会は予定通りである。2021年度より、それまでは池麗梅氏の翻刻に拠っていた中尊寺本の写真を見られるようになったこと、版本系テクストのうち思渓蔵本の影印が刊行され対照本に加えられるようになったことは、これまでの作業のやり直しを迫るものであり進行の後退とも言えるが、研究の精密化という点では大きな進展でもある。また、異体字の翻刻方針など、分担者によって見解を異にしていた部分について、打ち合わせの継続により次第に統一方針により作業を進めることが出来るようになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、報告書の資料篇として出版予定である新宮寺本『続高僧伝』の翻刻、校勘を8月までに完了し、9月からは見直しと統一の作業に入る。 また、新型コロナウィルス流行に伴い見合わせていた東北歴史博物館における巻五写本の撮影を実施する。 研究集会については、報告書の論文篇の準備および学界と社会への貢献の観点から、従来の年一度ペースを速め、年に2~4回としたい。現時点で決定している計画としては、2022年6月18日(土)に第四回研究集会「最晩年の著作から見た道宣の世界像―霊異と華夷観念―(仮題)」を開催し、小シンポジウムとして京都大学人文科学研究所准教授・倉本尚徳氏、中国社会科学院古代史研究所助理研究員・陳志遠氏、研究代表者・齋藤智寛による研究発表と、宮嶋純子(関西大学・ベトナム社会科学アカデミー)氏によるコメントを踏まえた討論実施する。 また、12月25日(日)にも研究集会を開催し、大東文化大学教授・蔵中しのぶ氏の公開講演と、研究分担者・堀裕による研究報告を行う。
|
Research Products
(19 results)