2019 Fiscal Year Annual Research Report
The discursive sphere of the Enlightenment and the floating boundary of knowledge
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19H01200
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小関 武史 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (70313450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深貝 保則 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (00165242)
玉田 敦子 中部大学, 人文学部, 教授 (00434580)
坂本 貴志 立教大学, 文学部, 教授 (10314783)
武田 将明 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (10434177)
松波 京子 名古屋大学, 附属図書館, 研究員 (10717119)
川名 雄一郎 早稲田大学, 高等研究所, その他(招聘研究員) (20595920)
長尾 伸一 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (30207980)
屋敷 二郎 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (30293145)
福島 知己 帝京大学, 経済学部, 講師 (30377064)
福田 名津子 松山大学, 人文学部, 准教授 (30456305)
逸見 竜生 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (60251782)
坂倉 裕治 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60318681)
隠岐 さや香 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (60536879)
飯田 賢穂 新潟大学, 人文社会科学系, 日本学術振興会特別研究員 (90806663)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 啓蒙 / 言説分析 / 手稿 / デジタルアーカイブ / 西洋古典籍 / 書誌学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、18世紀西洋の公共的な知の固有性を解析することである。研究班の15名は、①主体の複数性、②公的言説と私的言説の境界の不確定性、③正統化された言説と知の地下水脈の相互浸透、④現実とフィクションの境界の流動性、⑤「ヨーロッパ」という自己と他者の境界の確立、⑥知の分節化と脱境界性、という6点にわたって個別の研究を積んだ。 具体的な研究実績としては、(1)第15回国際18世紀学会大会への参加、(2)一橋大学社会科学古典資料センターでの書庫見学会の実施、(3)シンポジウムの開催、(4)シンポジウム記録の発行、の四つが挙げられる。以下、順に記す。 (1)メンバーの約半数は、2019年7月に英国・エディンバラで開催された第15回国際18世紀学会大会に参加し、研究成果を発表した。長尾伸一と玉田敦子が司会を務めたセッションでは、坂本貴志と小関武史が東西文化交渉に関する報告を行った(テーマ③と⑤)。武田将明は現実とフィクションの境界についての具体例を分析し(テーマ④)、隠岐さや香はアカデミーに属する知識人について論じた(テーマ②と⑥)。 (2)2019年9月には、一橋大学社会科学古典資料センターの書庫を見学した。元同センター専門助手の福島知己による案内で、西洋貴重書の所蔵と保存のあり方を実地に調査した。 (3)そうした下準備を経て、同年12月20日に古典資料センターの協賛と日本18世紀学会の後援を受けたシンポジウム「書物の記述・世界の記述――書誌が描く18世紀啓蒙の世界」を開催した。坂倉裕治、小関武史、松波京子が登壇し、思想史と書誌学の両面にわたる研究発表を行い(主としてテーマ①)、図書館関係者を含む聴衆と活発な質疑応答を行った。 (4)2020年3月、このシンポジウムの記録を収録した冊子を発行した(Study Series第76号、一橋大学社会科学古典資料センター)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
概要に記した研究実績(1)~(4)のうち、(1)~(3)までは交付申請書の「本年度の研究実施計画」に掲げた通りのものである。(4)は2020年度にずれ込むと考えていたが、2019年12月のシンポジウム記録が2020年3月に発行されたのは、当初計画よりも早い達成となった(ただし、Study Series掲載の3論文については、機関リポジトリへの登録が未完了であり、現段階ではDOIを示すことができない)。
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Strategy for Future Research Activity |
各研究者が研究の目的に沿って六つのテーマに分かれて個別研究を推進するのは、2019年度と同じである。しかし、それらを総合した共同研究については、新型コロナウイルス問題の影響を受け、大幅な計画変更を迫られる可能性が高いと思われる。たとえば、2019年度に一橋大学社会科学古典資料センターでシンポジウムを実施したように、2020年度には名古屋大学附属図書館で同様の企画を立てたいとと考えていたが、大勢が参集するシンポジウムを開催する目処は立たない。各研究者が、内外の図書館で貴重書を実見するような形での調査も、困難であろう。 こうした状況のもとでは、本研究課題が目指す「貴重書・手稿・デジタル資料を総合した18世紀研究」のうち、とくに「デジタル資料」に関する部分に注力することになると予想される。
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Research Products
(12 results)