2020 Fiscal Year Annual Research Report
「ポスト身体社会」における芸術・文化経験の皮膚感覚についての横断的研究
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19H01207
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
平芳 幸浩 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (50332193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 雅哉 関西大学, 文学部, 教授 (30372600)
池側 隆之 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (30452212)
平芳 裕子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (50362752)
高木 彬 龍谷大学, 文学部, 講師 (50767548)
藤田 尚志 九州産業大学, 国際文化学部, 教授 (80552207)
牧口 千夏 独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館, 学芸課, 主任研究員 (90443465)
太田 純貴 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (90757957)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 皮膚感覚 / 現代文化 / 芸術論 / 身体論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は春に京都工芸繊維大学美術工芸資料館にて、展覧会「肌色って何色? 広告ポスターに見る皮膚表現」を開催する予定であったが、COVID-19の影響により資料館自体が休館を余儀なくされたため、2021年度以降に延期となった。 研究会合としては、秋には、研究分担者の太田純貴先生中心となって、がユトレヒト大学のナンナ・フェルフーフ先生を招聘し、鹿児島大学にて国際シンポジウムを予定したが、こちらもCOVID-19の影響により出入国手続きが極めて困難な状況となり開催を延期することとなった。冬の研究会として2021年3月11日に、オンラインにて会合を実施した。研究分担者である鹿児島大学の太田純貴先生ならびに九州産業大学の藤田尚志先生に以下の題目で研究報告を行なっていただいた。 太田純貴「皮膚の想像力と岩明均作品」 藤田尚志「触覚をめぐる最近の哲学的考察(デリダ、伊藤亜紗)ーー痒さの哲学に向けて」 両報告は、美学的観点からこれまで身体論において研究されてきた「触覚」の問題を人体を覆うセンサー網としての皮膚へと拡張し、再検討するものであった。太田先生は漫画『寄生獣』における皮膚の問題を中心とし、藤田先生はデリダおよび伊藤亜紗の哲学的考察を出発点として皮膚における「痒み」に焦点を当てる意義深い報告であった。 上記以外の研究分担者は、以下のようなそれぞれの研究テーマについて持続的な調査研究を行った。「荒川修作+マドリン・ギンズによる天命反転における皮膚感覚」(平芳幸浩)「現代ファッションにおける皮膚感覚の変容」(平芳裕子)「ヴィデオ・アートにおける身体と皮膚の表象」(牧口千夏)「アニメーショ ンにおける皮膚表象」(若林雅哉)「現代文学における「皮膚感覚」表象」(高木彬)「映像がもたらす記憶と創造の相互作用」(池側隆之)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の蔓延により海外調査へ出ることが不可能となったばかりでなく、海外からの研究者の招聘も断念せざるを得ない状況となった。研究代表者である平芳幸浩は、疾病治療のため継続的な研究調査を行うことが困難な一年を過ごすこととなった。そのため、春に研究成果として予定していた展覧会「肌色って何色 広告ポスターに見る皮膚表現」の開催も延期となった。その他の研究分担者は太田先生および藤田先生の2名しか報告の機会を持つことができなかったが研究調査そのものは順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担者のそれぞれの研究調査は順調に進捗しているため、引き続き研究調査を続けるとともに、適切な時期に研究の報告を行っていく予定である。研究代表者である平芳幸浩については、疾病により研究調査にも遅れが出ているため、研究調査にあてる時間を可能な限り増やし、成果を出すべく調査のスピードを上げていく予定である。 研究報告の場である研究会合については、2020年度に実施できなかったものを2021年度に実施するとともに、京都国立近代美術館との共同主催で現代美術の皮膚感覚についてのシンポジウムの開催を行うなど、より充実した報告の機会を設けていく予定にしている。 研究の推進においては、研究分担者全員の研究の進捗と新知見の共有が極めて重要であるので、対面での会合だけでなく、インターネットなどを有効利用した意 見交換の方法を構築することで、個別の研究に終始することなく、十全な共同研究となるような環境づくり、また同時に協働作業に齟齬をきたさないような環境 づくりを進めていこうと考えている。
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Research Products
(14 results)