2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a multilingual dictionary of Japanese linguistics terminology and a glossing standard for Japonic languages
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19H01265
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
ジスク マシュー・ヨセフ 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (70631761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 勝勲 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (20770134)
Narrog Heiko 東北大学, 文学研究科, 教授 (40301923)
Irwin Mark 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (40361240)
佐々木 冠 立命館大学, 言語教育情報研究科, 教授 (80312784)
下地 理則 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (80570621)
黒木 邦彦 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 准教授 (80613380)
宮川 創 京都大学, 文学研究科, 助教 (40887345)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本語学用語 / 言語学用語 / 言語記述 / 形態素グロス / 音素表記 / 日本語形態論 / 日本語音韻論 / 翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトの3年目にあたる2021年度(繰越期間を入れて2021年4月~2023年3月)の研究実績は主に次の5つの事業に分けられる。 【1.日本語学用語辞典の作成】本プロジェクトの目標のひとつである「多言語による日本語学用語辞典」の作成を進めた。本年度は辞典に収録する用語の採集を引き続き行った。具体的には日本語による日本語学・言語学関係事典24冊から見出し語をすべて集め、エクセルファイルにまとめた。 【2.日琉諸語グロス規範の作成】本プロジェクトのもうひとつの目標である「日琉諸語グロス規範」の作成を進めた。分担者で何度かオンラインで集まり、現代・古代日本語を中心にグロス規範の試行版(第2版)を作った。 【3.日本で活躍する言語学者インタビューシリーズの撮影】昨年度より日本語学の国際発信の一環として、日本で活躍する言語学者インタビューシリーズを企画している。本年度中、言語学者3名に対してインタービューを行った。 【4.接語プロジェクト】グロス規範を作るにあたり、日本語助詞を形態論的にどのように扱うべきか判断するため、助詞の形態統語論的性質を決めるためのテストを10個作って、統語助詞(格助詞、派生助詞、接続助詞)をテストにかけた。また、分担者のSeunghun Leeが韓国語の助詞に対して同じテストを行った。 【5.国際学会の開催】昨年度中にInternational Conference on Linguistic Terminology, Glossing and Phonemicizationの第二回研究発表会を開催する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大のため、本年度に延期せざるを得なくなった。入国制限と予算の関係で、海外から研究者を招聘できなかったが、2023年2月に第二回の研究発表会(LiTGaP Winter Workshop 2023)が開催できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画では次の5点の目標を立てた。 1)「日本語学用語辞典」のための用語採集を完了する。2)古代と現代日本語グロス規範の試行版(第2版)を作成し、インターネットに公開する。3)日本で活躍する言語学者インタビューシリーズの撮影を引き続き行う。4)接語プロジェクトを始める。5)International Conference on Linguistic Terminology, Glossing and Phonemicizationの第二回研究発表会を開催する。 この内、1)~5)まではすべて達成できたので、プロジェクトは概ね順調に進展していると言える。 1)に関しては上述べたように、日本語学・言語学関係事典14冊から見出し語を採集することができた。また、これまでに作成したファイルの一部に対して校正作業を行った。2)は計画通りに古代語・現代語グロス規範の試行版(第2版)を作成し、研究代表者のウェブサイトに公開した(https://tohoku.academia.edu/MatthewZisk/Research-and-Teaching-Materials)。3)に関しては北星学園大学の松浦年男氏、北海学園大学(2023年4月より慶応義塾大学)の岡田一祐氏、小樽商科大学のMark Holst氏に対してインタビューを行った。録画した動画は現在編集している段階で、近日中、Youtubeに公開する予定である。4)は日本語助詞のすべてに対してテストを行うことができなかったが、統語助詞40語に対してテストがかけられたので、計画はおおむね順調に進んでいると言える。韓国語に対しては助詞および語尾約100語に対してテストが行えたので、当初の計画以上に発展していると言える。5)に関してはコロナ禍の影響で規模をやや縮小せざるを得なかったが、第二回研究発表会を無事開催することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
繰越申請したため、本実績報告書を書いているのは2023年5月である。本プロジェクトの最終年度目にあたる2022年度はすでに完了しているが、諸般の事情により、プロジェクトが遅れたため、一部の事業を2023年度に延長している。そのため、ここでは2022年度の実績報告を簡単に述べた上で今後の予定をまとめる。 【1.日本語学用語辞典の作成】これまでに日本語学・言語学関係事典57冊から見出し語を採集してきたが、データが莫大であるため、校正する必要がある。このため、2022年度より校正作業を始め、2023年5月の時点ではその作業がほぼ完了している。またインターネット公開のための検索インタフェースを一部作っている。2023年度中には校正作業とインタフェースの作成を完了した上で、辞典を一般公開する予定である。 【2.日琉諸語グロス規範の作成】古代日本語と現代日本語に対するグロス規範は2022年度中にいったん完成できたが、ルールが多いため、今後見直しの必要がある。また代表的な方言や琉球語のグロス規範は未完成であるので、2023年度中に完成したい。 【3.日本で活躍する言語学者インタビューシリーズの撮影】インタビューの撮影は2022年をもって完了したが、これまでに録画した動画の編集作業がまだ続いている。できるだけ早い時期に編集作業を終わらせ、編集した動画をYoutubeに公開したい。 【4.接語プロジェクト】韓国語に対する接語テストがすべて終わり、また日本語の統語助詞に対するテストも完了したが、今後、統語助詞以外の日本語助詞(情報構造助詞=係助詞、補助助詞=副助詞、談話助詞=終助詞)に対してテストを行う必要がある。できるだけ2023年度中にテストを完了し、その結果を論文でまとめたいと考えている。
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Research Products
(18 results)