2020 Fiscal Year Annual Research Report
シャドーイングが英語学習者のメタ認知に与える効果:NIRSによる脳内機構の解明
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19H01292
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
門田 修平 関西学院大学, 法学部, 教授 (20191984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 眞理子 新潟経営大学, 観光経営学部, 教授 (30779989)
中西 弘 西南学院大学, 外国語学部, 教授 (10582918)
中野 陽子 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (20380298)
風井 浩志 関西学院大学, 理工学部, 研究員 (80388719)
長谷 尚弥 関西学院大学, 国際学部, 教授 (50309407)
氏木 道人 関西学院大学, 理工学部, 教授 (20369680)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シャドーイング / fMRI / ワーキングメモリ / リスニング / 英語コミュニケーション能力 / 第二言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、実験の準備期間と位置づけ、メタ認知的活動、前頭前野、さらに実行系ワーキングメモリに関連する先行文献の調査を行った。その中で、当初予定していた、シャドーイング学習時のメタ認知的活動の実態を、NIRSデータを収集することで検証するという計画を、より精度の高いデータ収集を可能にするfMRIによる実験計画に変更して、綿密に時間をかけて策定した。 これを受けて、2020年度は、次の3点を中心にして、研究を進めていった。(1)話し手の顔動画を見ながらのシャドーイングとリスニング時の脳内活動が、顔動画をモザイク化した音声シャドーイングとリスニング時と比較して、どのように脳内活動が異なるかについて、fMRIデータを比較検討する。この予備実験を、ATR(国際電気通信基礎技術研究所)脳活動イメージングセンタにて実施した。(2)シャドーイングの実行時に、自身のシャドーイング音声を「聴覚フィードバック」しながら、どのようなメタ認知的活動を行っていたかを調べる方法として、シャドーイング時の再生動画を見ながらアンケートに答える行動実験の方法を策定した。(3)実験参加者の個人差について、その英語力およびワーキングメモリ能力を中心に測定する方法を策定した。具体的には、オックスフォードテスト、バーサントテストを用いてリスニング力、スピーキング力のテスト指標と、ストループテスト、数字スパンテスト、CELP-Comテストを用いたテスト指標をもとにすることとなった。 以上(1)~(3)の研究計画の遂行にあたっては、まず門田(研究代表者)が全体を統括しつつ研究の目的・仮説構築、予想される結果に関する検討を行い、その上で、他の研究分担者と連携しつつ、fMRIデータおよび個人差データを測定することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究実績の概要で記述したように、2020年度は、fMRI装置を使った脳活動の予備データ収集をATR(国際電気通信基礎技術研究所)脳活動イメージングセンタにおいて完了し、さらに学習者の個人差研究のための研究方法を確立した点で、順調に研究が進みだしたことがわかる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度までの研究実績を受けて、2021年度は、次の4点を中心に、本実験を進めていくことにしたい。(1)話し手の顔動画を見ながらのシャドーイングとリスニング時の脳内活動が、顔動画をモザイク化した音声シャドーイングとリスニング時と比較して、どのように脳内活動が異なるかについて、fMRIデータを比較検討する。これは、東北大学加齢医学研究所にて実施する。(2)シャドーイング実行時に、自身のシャドーイングについて、どのようなメタ認知的活動(モニタリングおよびコントローリング)を行っていたかを、刺激再生法アンケートを用いて調べる。このメタ認知的活動は、シャドーイング時にみずからシャドーイングのパフォーマンスに関する自身の評価を含む省察であると考えられる。(3)英語運用力(リスニング、スピーキング能力)について、学習者の個人差を測定し、これがシャドーイング・リスニング時の脳内処理ならびに学習者のメタ認知活動にどのように影響するか検討する。(4)併せて、学習者のワーキングメモリ能力(ストループテスト、数字の順唱・逆唱、CELP-Comテスト)をもとに、学習者の個人差を測定し、これがシャドーイング・リスニング時の脳内処理とメタ認知活動にどのように影響するか検討する。 以上(1)~(4)の遂行にあたっては、門田(研究代表者)が全体を統括しつつ研究の目的・仮説構築、予想される結果に関する検討を行う。そして、ジョン、梶浦(2021年度より研究分担者に追加)が、fMRIによるデータ収集とその分析を実施し、長谷、中西、氏木(研究分担者)がメタ認知活動に関する文献調査とメタ認知活動データについて検討し、中野、風井、川崎(研究分担者)が、実験参加者の個人差データ(英語運用能力とワーキングメモリ)収集のための実験用英文素材の選定と収集データの分析を行う。
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Research Products
(7 results)