2019 Fiscal Year Annual Research Report
The studies about the support for resilience of historical and culturel surroundings in the 3.11 diaster area with scholer's networks
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19H01293
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 大介 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (50374872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱岡 憲司 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (10548720)
坂本 達彦 國學院大學栃木短期大学, その他部局等, 教授 (20390750)
青柳 周一 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40335162)
平野 哲也 常磐大学, 人間科学部, 教授 (50735347)
添田 仁 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (60533586)
阿部 浩一 福島大学, 行政政策学類, 教授 (70599498)
高橋 陽一 宮城学院女子大学, 一般教育部, 准教授 (40568466)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歴史文化の再生 / 学際連携 / 歴史文化資料の保全 / ネットワーク形成 / 地域連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)ネットワーク型史料調査による歴史再生 ①小津久足「陸奥日記」の研究:江戸・深川に拠点を置く伊勢商人・小津久足が、天保12年(1840)春に深川から陸奥国松島への旅路を紀行文としてまとめた「陸奥日記」に基づき、フィールドを分担して関係資料の収集を実施した。2019年9月には栃木県栃木市にて研究会を開催し、日光や下野国における小津久足の旅程と、当時の社会状況について、また現況との比較に資する認識を共有できた。また、2019年度の日本建築学会都市小委員会シンポジウムにて松島の石碑群に対する旅行者の認識に関する研究発表を行った。②蝦夷地関係資料の調査研究:宮城県丸森町の修験者・宗吽院文書の中に残されている、文化年間の仙台藩の蝦夷地出兵に関連する史料群について、2019年8月に北海道大学との共同調査を実施した。仙台藩士がクナシリ島(国後島)の景勝地を「クナシリ八景」と称して、蝦夷地警護の1年間に歌作に取り組んでいる古文書など、従来未確認の古文書資料を確認することができた。 (2)2019年台風19号で被災した地域の歴史資料の救済・保全活動の実践 2019年10月12日夜から13日にかけての台風19号によって、上述した①、②の地域では洪水などで甚大な被害を受けた。そのため、研究グループでは相互に情報交換を行いつつ、被災した宮城、福島、茨城、栃木の各地で史料レスキューを実施することとなった。宮城では角田市などで約1万点の古文書をレスキューできた。 (3)学術報告書の刊行 仙台藩の商人の記録「丸吉皆川家日誌」の全文解読を学術報告書として刊行し、小津久足が来訪した天保期の仙台藩の社会状況について解明するための基礎情報を共有出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)2019年台風19号による地域の被災 2019年10月の台風では、フィールドとしていた地域のすべてが洪水で被災し、個人宅に加えて史料所蔵機関も被災し、保管・所蔵されていた歴史資料や、地域の史跡が多数が被災する事態となった。研究代表者および研究分担者は宮城県、福島県、茨城県、栃木県にて直ちに史料の救済保全活動を行うこととなった。それらの史料への応急処置は、続けて発生した2020年初頭からの感染病の流行拡大によって遅延している状態であり、内容を分析する段階に至っていない。 (2)2020年初頭からの感染症流行拡大による調査の遅延 世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大にともない、2020年初頭から日本列島でも感染が拡大し、県境を越える移動の制限や、史料保存機関の休館が相次いだ。本研究が研究対象としている文献資料のほとんどはデジタル公開はなされていないため、基礎的な文献や史料の調査、また集団での研究会が著しく困難になった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度後半以降、調査活動が限定された条件での実施を余儀なくされているが、一方で仙台藩の商家が残した天保時代の日誌を全文翻刻した。小津久足が記録した、天保飢饉後の仙台藩の経済的な混乱状況を、地元の史料とあわせて解明するための基礎的状況が整ったと考えられる。今後についても、現状で調査可能な、良質な史料についてWeb上での公開を前提に共有し、地域の歴史再生に資する情報環境を整備する。
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Research Products
(6 results)