2020 Fiscal Year Annual Research Report
「感情体制」と生きられた感情―エゴドキュメントに見る「近代性」
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19H01295
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
小野寺 拓也 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (20708193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 徹也 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 教授 (10315822)
三ツ松 誠 佐賀大学, 地域学歴史文化研究センター, 准教授 (10712565)
平山 昇 神奈川大学, 国際日本学部, 准教授 (20708135)
森田 直子 立正大学, 文学部, 准教授 (30452064)
池田 勇太 山口大学, 人文学部, 准教授 (30647714)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 感情史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度につづき、基礎的な感情史研究のサーヴェイを進めた。2回の研究会をオンラインで実施し、Rob Boddice, The History of Emotions, 2018、およびUte Frevert, Maechtige Gefuehle: Von A wie Angst bis Z wie Zuneigung - Deutsche Geschichte seit 1900, 2020を全員で読み進めて、感情史研究の最新の動向について認識を深めた。また、ヤン・プランパー氏(ロンドン大学ゴールドスミス校教授)を招いての国際ワークショップについては、コロナ禍で招聘が難しいことが判明したため、科研の繰越手続きを行ったうえで、時期を遅らせて2021年4月にオンラインで開催した。本研究会は昨年度、メンバーの協力を得てプランパー氏の著書『感情史の始まり』(みすず書房)を訳書として刊行しており、本シンポジウムはその書評シンポジウムとして開催された。現代史研究会の協力のもと、その4月例会として実施された(パブリックヒストリー研究会との共催)。プランパー氏による基調講演のあと、科研メンバーの平山昇、南アジア近代史の粟屋利江氏、イタリア現代史の小田原琳氏、そして感情心理学の大平英樹氏によるコメントが行われ、活発な議論となった。240名を超える参加があり、まだ日本においては目新しい領域である感情史研究を今後推進していくうえで重要な場となった。本シンポジウムは、現代史研究会の雑誌『現代史研究』において活字化されることも決まっており、2022年3月に刊行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感情史研究のサーヴェイ、国際シンポジウムの実施については予定通り進捗しており、国内学会での研究報告も準備が着々と進んでいる。そのため、現時点での進捗は順調である。その一方でコロナ禍により、とくにドイツを研究対象とする3名の研究者は、本計画が始まってから一度もドイツに足を運べていない。そのため、文書館での資料収集を前提とした研究は困難になっている。また、最終年度にドイツで研究会を実施する予定だったが、その実施も難しくなりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年6月の日本ドイツ学会フォーラムでの研究報告に向けて、各人は準備を進める。また、ドイツでの資料収集も依然として視野には入れるものの、今後とも渡航が困難である可能性も見据えて、新しい資料の収集ではなく、国内でも入手可能な資料をもとに、最新の感情史研究の知見も踏まえた研究へと軸足を移す予定である。また、ドイツでの研究会が困難になりうる情勢であることから、英語論文を各人が執筆したうえで、その刊行を模索する方向へと切り替える。
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