2022 Fiscal Year Annual Research Report
Pen and Sword in Modern Revolutions
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19H01302
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Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
三谷 博 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (50114666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深町 英夫 中央大学, 国際経営学部, 教授 (00286949)
後藤 はる美 東洋大学, 文学部, 准教授 (00540379)
鰐淵 秀一 明治大学, 文学部, 専任講師 (30803829)
酒井 啓子 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (40401442)
塩出 浩之 京都大学, 文学研究科, 教授 (50444906)
池田 嘉郎 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (80449420)
平 正人 文教大学, 教育学部, 教授 (90594002)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 革命 / 公論 / 暴力 / 内乱 / 戦争 / グローバルな比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度には対面の国際研究会が初めて実現した。2023年1月7・8日、東京大学文学部に国内外から20人が会し、会場とオンラインの視聴者の前で、発表と討論を行った。その一部は同時通訳付とした。外国からはUSAと韓国からメンバー5人が来会した。イラン革命の Juan Cole (Michigan University), 日本史の Harald Fuess (Heidelberg University), 中国革命の Jeffrey Wasserstrom (UC, Irvine), ロシア革命の Merissa Stockdale (Oklahoma University), 明治維新の朴薫 (ソウル大学校)という方々である。また、来日できなかった2人も、イギリス史の Michael Braddick (Shefield University) は録画により発表し,David Bell (Princeton University) はオンラインでコメントに当った。国内からもゲストを2人、中国革命の石川禎浩(京都大学)、日本思想史の渡辺浩(東京大学名誉教授)の両氏を招聘した。発表の順番は、実時間順と逆に中東・イランから始め、17世紀のイギリスに至る構成としたが、その甲斐あってか、緊張感に満ちた発表と討論が展開し、最後の総合討論では、渡辺氏の洞察に満ちたコメントを皮切りに、様々なアイデアが披瀝・議論され、20世紀までの理解を超える革命研究の可能性が開かれた。 この研究会で発表された基調報告の全文、および各発表のPPTは、日英両文で、次のフォルダに公開した。https://www.dropbox.com/scl/fo/awjm5h0rme3dru8i5ua5k/h?dl=0&rlkey=64dzaf9qk8tdm9kp7u8rhcy6w
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最初の対面会議であるにもかかわらず、メンバーの間での議論はよくかみ合った。議論を通じて浮び上がってきた主な論点は、1)「革命」の理解には長期的視点が不可欠だが、それは、1つの長い革命と見るより、小さな革命、反動も含む変革の継起と見ることが有効だろう。2)19世紀末以降の「革命」と、それ以前の「革命」はかなり異なるものだった。前者では、最初から体制の転覆が目標に掲げられたのに対し、後者ではどの革命も試行錯誤の結果として生じ、王政を廃止したアメリカやフランスの革命も当初はその例外でなかった。3)20世紀の諸革命では、暴力行使が当然視され、自由を抑圧する体制が定着することが多かった。4)各時代の革命は同時代の世界的流行に左右されることが多かった。出発点でモデルを持たなかった明治維新も、途中からイギリス・モデルを参照して、自由な体制を築くに至った。20世紀の諸革命、とくに後進地域で起きたそれでは、ボルシェヴィキ・モデルが熱心に参照された。現代の中東では一部、イランのテオクラシーが参照されれつつある。このように、異なる革命の比較を繰返す中で、時代的また通時的な傾向、およびそれを生み出す条件が明快に見えるようになったように思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年であり、プロジェクトの成果を英語論文集として出版する準備を始める。2023年1月の研究会で提出された論文を討論の成果を踏まえて改訂し、出版可能なスタイルに整えるのが第一の課題であり、ついでは、比較の成果を集約した序論を書くことが最後の関門となる。次年度の予算は限られているので対面集会はできないが、この2つの課題を解くため、オンラインで国際研究集会を、ワークショップによる準備を経た上で、開催したい。
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Research Products
(14 results)