2021 Fiscal Year Annual Research Report
明治太政官文書を対象とした分散所在史料群の復元的考察に基づく幕末維新史料学の構築
Project/Area Number |
19H01303
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
箱石 大 東京大学, 史料編纂所, 教授 (60251477)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮間 純一 中央大学, 文学部, 准教授 (10781867)
水上 たかね 東京大学, 史料編纂所, 助教 (20835483)
村 和明 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (70563534)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 日本史 / 近現代史 / 史料学 / 維新政権 / 明治太政官文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績は、以下の通りである。 1)東京大学史料編纂所・国立公文書館・宮内庁が所蔵・管理する明治太政官文書の調査・研究 ①東京大学史料編纂所所蔵「復古記原史料」の詳細目録データ949件を作成し、その内容分析を行なった。また、同所所蔵の明治天皇宸筆勅書(図書登録名「明治天皇宸翰御沙汰書」)の料紙を対象として、精密な法量の計測と表面観察、顕微鏡を使用した観察・撮影記録に基づく構成物分析を内容とする原本史料調査を実施し、その成果を報告した。②国立公文書館所蔵「雑種公文」慶応4年6月分に収録された文書の詳細目録データ52件、同館所蔵「日記」(官掌による弁事伝達所の文書受付簿)慶応4年6月分の文書提出人名データ1243件を作成し、「復古記原史料」との対照作業を進めた。③宮内庁書陵部図書課宮内公文書館所蔵「三条公行実編輯掛本」のうち明治太政官関係文書194点の複写画像データを収集し、その内容分析を行なった。 2)上記以外の明治太政官文書及びその関連文書の調査・研究 ①分散所在する岩倉具視関係文書について、海の見える杜美術館所蔵「岩倉具視関係史料」のうち「功臣遺墨」第1~30巻の調査及びデジタル撮影、京都市歴史資料館所蔵「岩倉具視関係資料」のうち「叢裡鳴虫」・「万里風信」・「長閑玉章」・「岩倉公書簡」・「岩倉公関係文書」第1~30巻のデジタル撮影、京都府立京都学・歴彩館所蔵「山本読書室資料」中の岩倉具視関係史料の調査を実施した。②早稲田大学図書館所蔵「中御門家文書」中の中御門経之関係文書を調査して、冊子1冊と巻子10巻分の複写画像データを収集し、その内容分析を行なった。③松陰神社宝物殿至誠館所蔵前原家寄贈資料のうち前原一誠関係文書について、参議・兵部大輔時代の文書を中心に調査した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大によって計画の遅延と縮小を余儀なくされたが、本年度は東京大学史料編纂所・国立公文書館・宮内庁における調査が順調に進展し、前年度から繰り越した宮内庁書陵部図書課宮内公文書館所蔵「三条公行実編輯掛本」中の明治太政官関係文書の複写画像データ収集も、当初の予定通り完了させた。また、上記の3機関以外における明治太政官文書及びその関連文書の調査・研究では、早稲田大学図書館所蔵の中御門経之関係文書を調査して必要な複写画像データを収集し、その内容分析を行なった。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大によって一時中断していた遠隔地への出張調査を再開し、海の見える杜美術館、京都市歴史資料館、京都府立京都学・歴彩館所蔵の岩倉具視関係文書や、松陰神社宝物殿至誠館所蔵の前原一誠関係文書を調査して、その一部についてはデジタル撮影に着手することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)東京大学史料編纂所・国立公文書館・宮内庁が所蔵・管理する明治太政官文書の調査・研究 引き続き東京大学史料編纂所・国立公文書館・宮内庁の3機関において調査を行ない、分散所在文書の目録情報等を集成し、その成果に基づき本来の文書群として復元することを試みる。 2)上記以外の明治太政官文書及びその関連文書の調査・研究 上記3機関以外に所在する維新政権期の明治太政官文書及びその関連文書について、これまで調査・分析してきた内容を精査する。 3)研究成果の集約とその公開 研究の最終年度である2022年度末までに、これまでの研究成果を集約し、研究成果報告書を編集・刊行する。なお、その準備報告を兼ねて公開研究会を開催する。併せて、学術雑誌などにも随時寄稿して、調査・研究の成果を公表することに努める。また、東京大学史料編纂所所蔵「復古記原史料」については、その目録情報等を同所の「所蔵史料目録データベース」に随時登録して公開する。海の見える杜美術館所蔵「岩倉具視関係史料」については、史料編纂所のホームページよりモノクロマイクロフィルムスキャン画像のWeb公開を実施する。
|
Research Products
(4 results)