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2021 Fiscal Year Annual Research Report

中国古代軍事史の多角的検討-「公認された暴力」のありか

Research Project

Project/Area Number 19H01318
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

宮宅 潔  京都大学, 人文科学研究所, 教授 (80333219)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 佐川 英治  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (00343286)
森部 豊  関西大学, 文学部, 教授 (00411489)
丸橋 充拓  島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 教授 (10325029)
佐藤 達郎  関西学院大学, 文学部, 教授 (30340623)
鷹取 祐司  立命館大学, 文学部, 教授 (60434700)
Project Period (FY) 2019-04-01 – 2024-03-31
Keywords中国古代 / 軍事史 / 暴力 / 制度史 / 社会史
Outline of Annual Research Achievements

昨年度に引き続き、新出史料の読解を進めるとともに、メンバーによる研究発表を行い、相互に意見を交換し、共同研究の方向性をさらに固めていった。
新史料の読解については、京都大学・人文科学研究所において毎週研究会を開催し、岳麓書院所蔵簡の秦律令を読み進め、訳注を作成した。本年度に会読した条文の一部は、「岳麓書院所藏簡《秦律令(壹)》訳注稿 その(四)」として、『東方学報』京都第96冊に発表した。そのなかには、秦による征服戦争が完了した後、軍功の有った兵士に恩賞を授ける際の手続に関する条文もあり、統一後の秦が抱えていた諸課題について知るうえで、重要な手がかりになるものである。
研究発表については、佐川・鷹取・佐藤・森部が各自の研究テーマに関して順次報告した。たとえば佐川は「軍功と賜爵―秦漢二十等爵制の考察―」という題目で口頭発表し、軍功褒賞として始まった爵制が、次第に変容してゆく過程に分析を加えた。また鷹取は、「漢代の兵役義務と郡国常備兵」という題目で、漢代の兵役制度について述べた典籍史料の記事を慎重に再検討し、しかるべき解釈を示したうえで、普遍的な徴兵制度に基づく軍隊が、特殊専門兵から構成される軍隊へと変化する経緯を、改めて論じた。これらの研究会はいずれもオンラインで行ったが、発表レジュメと討議の記録は中国語訳し、海外の研究協力者とも共有した。
これに加えて、昨年度から開始した、中国・武漢大学、韓国・ソウル大学と共同で運営する研究会、「戦国秦漢簡牘在線研読会」を、今年度も引き続き開催した。これは3ヶ月ごとに、年4回のペースで行っており、毎回日本・中国・韓国の研究者が3本の研究発表を行っている。今年度はたとえば宮宅が、「秦代徴兵制度研究的現状――圍繞基本史料的解釋」という題目で発表し、本プロジェクトの成果の一端を紹介した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度も新型コロナウイルス感染症の影響により、対面での研究会開催や海外共同研究者の招へいは、困難である状況が続いた。5年計画の中間年度にあたる本年度には、中国・武漢大学で国際シンポジウムを開催する計画であったが、それも先方との協議の末、次年度に対面で開催できる可能性に期待し、いったん延期することにした。
だが、京都大学における新出史料の会読については、速やかにオンライン会議システムを導入し、活動を継続してきた。この形式にも十分に習熟し、現在では対面と変わらぬ密度で会読を進めることができている。さらにオンラインに切り替えたために、日本全国から関連する研究者の参加が得られるようになり、また韓国からも、本プロジェクトの研究協力者である金秉駿が、定期的に会読に参加している。
オンラインでの海外研究者との協業を摸索していくなかで、武漢大学、ソウル大学との共同研究会、「戦国秦漢簡牘在線研読会」が始められることにもなった。この研究会では、本プロジェクトの共同研究者たちが研究報告を行うと同時に、それぞれの共同研究者が指導する大学院生やポスドクによる、関連する問題についての発表も行っており、若手研究者が相互に交流する場、および国際的な協業のためのトレーニングを受ける場ともなっている。感染症の拡大により生じた研究環境の激変の、ポジティブな副産物だといえよう。
議論の密度やその柔軟な展開、さらにはいくつかの意見交換を同時並行して行うことができるという点では、やはり対面の方がオンラインよりも望ましい。だがオンラインの活用により、以前は十分な予算と準備が必要だった国際交流が、日常的に行えるようになっている。とくに時差を気にせず集える中国・韓国との学術交流は、以前よりも格段に活性化し、このプロジェクトの推進を大いに助けている、これにより、総体的には「おおむね順調に進展している」ものと自己評価した。

Strategy for Future Research Activity

まず次年度も今年度と同様に、新出史料の会読を進めてゆく。人文研における毎週の研究会のほか、武漢大学・ソウル大学、および京都大学の共催による「戦国秦漢簡牘在線研読会」も、引き続き3ヶ月に一度のペースで継続し、ここでも関連する問題を討議する。新出史料の会読については、来年度には岳麓書院所蔵簡《秦律令(壹)》(計391簡)をすべて読了する予定である。順次公表してきた訳注稿を一つの書籍としてまとめ、出版社(東京:汲古書院)から刊行することを計画している。
研究分担者による研究報告も、同様にオンラインで行ってゆく。上述した三校共催のオンライン研究会も活用して、相互に意見を交換し、各自の研究課題をより深く掘り下げてゆく。時差の問題で参加が難しい欧米の共同研究者には、翻訳した議事録の配布により、問題意識の共有を図る。また欧米の研究者がすでに文章化した原稿を提出してもらい、それを国内メンバーで検討する試みも企画している。これらの活動で得られた研究成果を段階的に公表し、同時にそれを翻訳し、広く発信してゆく活動にも、引き続き注力してゆく。
本年度に開催する予定だった国際シンポジウムは、すでにその順延を決定した。引き続き感染状況や各国の防疫政策を注視しつつ、対面開催の可能性を摸索していくが、来年度の夏期までに見通しが立たない場合は、オンラインでの開催に踏み切る予定にしている。

  • Research Products

    (23 results)

All 2022 2021 Other

All Int'l Joint Research (4 results) Journal Article (12 results) (of which Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 4 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 2 results) Book (2 results) Remarks (1 results) Funded Workshop (1 results)

  • [Int'l Joint Research] 武漢大学(中国)

    • Country Name
      CHINA
    • Counterpart Institution
      武漢大学
  • [Int'l Joint Research] 国立ソウル大学(韓国)

    • Country Name
      KOREA (REP. OF KOREA)
    • Counterpart Institution
      国立ソウル大学
  • [Int'l Joint Research] ハイデルベルク大学(ドイツ)

    • Country Name
      GERMANY
    • Counterpart Institution
      ハイデルベルク大学
  • [Int'l Joint Research] テネシー大学(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      テネシー大学
  • [Journal Article] The Withdrawal of the Qin Army from Qianling Prefecture: From the End of Conquest to the Beginning of Occupation2022

    • Author(s)
      Miyake (宮宅潔) Kiyoshi
    • Journal Title

      Bamboo and Silk

      Volume: 5 Pages: 73~105

    • DOI

      10.1163/24689246-00402016

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 『漢簡語彙考證』訂補(一)―遣自致、封符、物故2022

    • Author(s)
      宮宅 潔
    • Journal Title

      簡帛網(オンライン)

      Volume: - Pages: ー

    • Open Access
  • [Journal Article] 秦の始皇帝―ファースト・エンペラーの素顔に迫れるか―2022

    • Author(s)
      宮宅 潔
    • Journal Title

      論点・東洋史学

      Volume: - Pages: 42-43

  • [Journal Article] 十六国北朝隋唐政権と中華世界2022

    • Author(s)
      佐川英治
    • Journal Title

      岩波講座世界歴史

      Volume: 6 Pages: 83-112

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 唐宋変革 中国史の転換点はいつか2022

    • Author(s)
      丸橋充拓
    • Journal Title

      論点・東洋史学

      Volume: - Pages: 62-63

  • [Journal Article] 軍事制度からみた帝国の誕生:秦から漢へ2021

    • Author(s)
      宮宅 潔
    • Journal Title

      岩波講座世界歴史

      Volume: 5 Pages: 95-120

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 岳麓書院所蔵簡《秦律令(壹)》訳注稿 その(四)2021

    • Author(s)
      宮宅潔(共著)
    • Journal Title

      東方学報京都

      Volume: 96 Pages: 59-115

    • Open Access
  • [Journal Article] 漢代兵役考証2021

    • Author(s)
      鷹取 祐司
    • Journal Title

      立命館東洋史学

      Volume: 44 Pages: 1~45

    • DOI

      10.34382/00017688

    • Open Access
  • [Journal Article] 長沙五一廣場東漢簡牘・君敎文書新考2021

    • Author(s)
      鷹取祐司
    • Journal Title

      韓国・慶北大学人文アカデミー『東西人文』

      Volume: 15 Pages: 207~270

    • Open Access
  • [Journal Article] 長沙五一廣場東漢簡牘・君敎文書新考2021

    • Author(s)
      鷹取祐司
    • Journal Title

      中国中古史研究 呉簡専号

      Volume: 9 Pages: 295~342

  • [Journal Article] 釋秦代的“徭”与“戍”2021

    • Author(s)
      宮宅 潔
    • Journal Title

      簡牘学研究

      Volume: 11 Pages: 90-103

  • [Journal Article] 秦代徭役与兵役制度再考2021

    • Author(s)
      宮宅 潔
    • Journal Title

      法律史訳評

      Volume: 9 Pages: 1-25

  • [Presentation] 秦代徴兵制度研究的現状――圍繞基本史料的解釋2021

    • Author(s)
      宮宅 潔
    • Organizer
      戦国秦漢簡牘在線研読会
  • [Presentation] 軍功と賜爵―秦漢二十等爵制の考察―2021

    • Author(s)
      佐川英治
    • Organizer
      東洋史研究会大会
    • Invited
  • [Presentation] 秦漢時代の「庶人」について――身分標識不所持説の検証を中心に――2021

    • Author(s)
      鷹取祐司
    • Organizer
      中国出土資料学会 2021年度第2回大会
    • Invited
  • [Book] ある地方官吏の生涯2021

    • Author(s)
      宮宅 潔
    • Total Pages
      256
    • Publisher
      臨川書店
    • ISBN
      4653043795
  • [Book] 論点・東洋史学2021

    • Author(s)
      宮宅 潔(吉澤 誠一郎らとの共編著)
    • Total Pages
      378
    • Publisher
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      4623092178
  • [Remarks] 秦代出土文字史料の研究班

    • URL

      http://www.shindai.zinbun.kyoto-u.ac.jp/index.html

  • [Funded Workshop] 戦国秦漢簡牘在線研読会(第2~5回)2021

URL: 

Published: 2023-12-25  

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