2020 Fiscal Year Annual Research Report
三角縁神獣鏡の製作地解明に向けたミューオンビームによる非破壊成分分析とその検証
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19H01357
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
南 健太郎 岡山大学, 埋蔵文化財調査研究センター, 助教 (60610110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 朗 大阪大学, 理学研究科, 助教 (40362610)
長柄 毅一 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 教授 (60443420)
三船 温尚 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 教授 (20181969)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 三角縁神獣鏡 / 鋳造技術 / 湯口 / ミューオン / 完全非破壊成分分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は三角縁神獣鏡の調査、鋳造実験、レプリカ鏡の蛍光X線分析、ミューオン実験準備を中心に研究を実施した。 三角縁神獣鏡の調査は同笵鏡を多数有する鏡群を中心におこなった。調査地は岡山県である。調査では鋳バリ、鋳引けといった鋳造痕跡の抽出を重点的に観察し、鋳造方法についての多くの知見を得た。また三角縁神獣鏡の同笵鏡どうしでそれらを比較することも進めた。 鋳造実験は富山大学芸術文化学部で実施した。原型としたのは9面の同笵鏡を有する泉屋博古館所蔵三角縁神獣鏡で、三次元計測データに基づく樹脂レプリカを作成した。樹脂レプリカから鋳型をおこし、鋳造実験を行った。実験では10面のレプリカ鏡を作成し、レプリカ鏡にみられる鋳造痕跡の観察を実施した。レプリカ鏡の蛍光X線分析では成分の偏在状況に注目して実施し、そのような状況が生じる要因について検討した。 ミューオン実験準備としては昨年度購入した検出器用の電子回路を購入した。ミューオン実験ではこれらをセットアップに組み込むことで、ビームタイムの短縮や精度向上につなげることができる。 また本年度は1件の学会発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は国内でのミューオン実験を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、実験で使用予定であった資料の事前調査が出来ず、ミューオン実験が実施できなかった。しかし海外機関でのミューオン実験の機会を得ることが出来たため、鋳造実験で作成したレプリカ鏡のミューオン分析を実施した。ミューオン分析解析結果と鋳造実験鏡の蛍光X線分析結果を対比する準備を整えることができた。両分析の対比までは今年度実施できなかったが、次年度にその成果をまとめることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染拡大の状況が不安定に推移しているため、次年度も三角縁神獣鏡の調査とミューオン実験を計画通り進めることができない可能性が想定される。その場合は鋳造実験とレプリカ鏡の蛍光X線分析を先んじておこなうことによって、三角縁神獣鏡の製作技術研究をすすめる必要がある。これはミューオン実験に備えることにもつながる。その場合、新たに三次元計測に基づく樹脂レプリカを作成して鋳造実験を行うことによって、三角縁神獣鏡の鋳造技術研究を俯瞰的に進めることも視野に入れて研究を進める。
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Research Products
(7 results)