2022 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な社会実現への挑戦:アラスカにおける金鉱開発と生存漁労の共生に関する研究
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19H01392
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
生田 博子 九州大学, 留学生センター, 准教授 (90783829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 亮 大分大学, 経済学部, 准教授 (80466515)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 持続可能な社会 / 資源開発 / 北極圏 / 生存漁労 / 先住民族 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は海外研究教育機関において、本研究課題に関連する民族誌的資料の閲覧ならびに検討を中心に文献調査を進めるとともに、海外の極北先住民研究者との先住民と開発をめぐる諸問題に関する意見交換を実施した。また金鉱開発に関与する企業を訪問し、本研究に関連する資料を収集することができた。 先住民漁労と天然資源開発に関する広範な民族誌的資料の収集は、大英博物館、ピットリバース博物館、フィールド博物館、ロイヤルオンタリオ博物館において実施した。これらの調査を通して、アラスカ先住民をはじめとする極北先住民社会における伝統的生業活動の文化的・経済的重要性を再確認することができた。また、文献資料・最新研究成果の収集は、ウォルターケルナー図書館、ラスミュソン図書館で実施した。この調査では、先住民の伝統て生業に関わる資料はもちろん、アラスカ州における天然資源開発に関わる資料、アラスカ州における先住民運動に関する資料、そして天然資源開発と先住民との関係に関する資料を収集することができた。さらに、アラスカ州南西部における金鉱開発プロジェクトを実施する企業のコーポーレートオフィスに訪問し、これら企業に関する情報に触れることができた。 また極北先住民研究を専門とする人類学者と本研究課題に関する意見交換を直接することができた。彼らとの議論を通して、極北地域における開発と生業の関係性についての本研究の知見をより精緻なものとすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルスの感染拡大に伴う渡航制限等は解除されたものの、研究開始初年度から現在に至るまで海外渡航を伴う調査の延期を余儀なくされ、かつ複数回にわたって海外調査実施期間の見直しをする必要に迫られた。それに加えて、2022年9月に発生した台風(Merbok)が調査予定村落に甚大な被害をもたらしたことで、現地の受け入れ態勢が整わず、現地調査を延期せざるを得ない事態も生じた。研究期間終了時までには、当初計画にある調査・研究活動を履行する予定ではあり、それに向けて進捗しているとは言える。しかし収集した資料の分析や研究成果の公表には、いましばらくの時間を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで収集した民族誌的資料や歴史資料の分析を効率的かつ迅速に進めつつ、その結果を踏まえた現地調査を集中的に実施する。海外在住の極北研究者との連携や意見交換を継続的に実施し、本研究のさらなる質的向上を目指す。本研究を通して明らかとなった点を口頭や紙面で発表することで、成果を国内外に還元する。
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Research Products
(5 results)