2021 Fiscal Year Annual Research Report
An Anthropological Study on Basketry from the Perspective of Plant Ecology and Craft Skills
Project/Area Number |
19H01401
|
Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
上羽 陽子 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 准教授 (10510406)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 文美 岡山大学, 文明動態学研究所, 教授 (90288697)
飯田 卓 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 教授 (30332191)
小坂 康之 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (70444487)
金谷 美和 国際ファッション専門職大学, 国際ファッション学部, 准教授 (90423037)
山岡 拓也 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (30514608)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | バスケタリー / 植物生態 / 民族技術 / 技術選択 / 文化人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「バスケタリー」という新たな学術対象を開拓し、その使用材料(編み材、組み材、結束材)に注目しつつ、ヒトによる植物利用の一側面を人類史的な視点から明らかにすることである。 2022年度は、マダガスカル島中央高地アンブシチャ県のアントゥエチャにおいて研究代表者および研究分担者4名で共同調査を実施し、バスケタリーの素材と製作、流通に関わる基礎的資料を収集した。具体的には素材植物の生態と生産管理、使途に応じた素材の選択、使用材料への加工技術、製品までの製作技術、加工道具の有無や利用法、生産構造と社会関係について焦点をあて、植物加工技術と生態資源利用の現状と変化、生産構造と社会関係のあり方などに関する情報を収集した。 この共同調査を通じてメンバー各自が設定した課題の暫定的分析結果を3月開催の第2回研究会において共有した。さらに、マダガスカル島東海岸部地域での共同調査結果との比較をおこない、文化人類学・生態人類学・民族芸術学・考古学・民族植物学といった多様な視座を用いて分析し、素材に関する地域的差異と、インフォーマルな流通という地域を超えた共通性が明らかとなり、次年度の成果とりまとめに向けての議論をおこなった。 バスケタリーは、植物の部位を加工してたわみやすい線状物を製作し、それを材料として、編み・組みの技法で作られたもの一般を意味する。そこで本年度はこの特性を浮き出すため、たわみの少ない材料を素材としているスダレを比較対象として、3月に京都府亀岡市の京すだれ川崎にて共同調査を実施した。スダレ製作における素材植物の生態と生産管理、使途に応じた素材の選択と保管方法、製品までの製作技術についての教授を受け、詳細な情報を収集した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年前半までは資料収集や現地調査などは計画どおりおこなうことができ、ほぼ順調に進めることができた。しかし、2019年後半に調査を予定していたインド北東部アッサム地域で抗議デモが発生し、そのため現地の治安が悪化し、現地調査が困難になった。さらに2020年2月以降、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、海外および国内での現地調査が難しくなった。このような困難な状況ため、2021年度は国内における情報収集や日本国内で可能な現地調査を進めるとともに、研究会やワークショップを開催し、個別テーマに関する研究発表をおこない、議論を深めた。2022年度はマダガスカルでの共同調査を実施し、植物加工技術と生態資源利用の現状と変化、生産構造と社会関係のあり方などに関する情報を収集することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は延期となっていたインドネシア西ティモールでの共同調査を実施する。この共同調査で得たデータ集積と解析に加えて、これまでの個別調査および共同調査をふまえ、研究メンバー間で問題意識と論点の共有を図るための研究会を実施する。また、全体にかかる成果発表の方法について議論を開始する予定である。
|
Research Products
(9 results)