2019 Fiscal Year Annual Research Report
相互監視と分散的制裁―情報ネットワーク社会の法意識の解明による国家法の再定位―
Project/Area Number |
19H01403
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
尾崎 一郎 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (00233510)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 秀吾 明治大学, 法学部, 専任教授 (70330008)
徐 行 北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (30580005)
郭 薇 静岡大学, 情報学部, 講師 (80733089)
山本 龍彦 慶應義塾大学, 大学院法務研究科(三田), 教授 (90440370)
町村 泰貴 成城大学, 法学部, 教授 (60199726)
池田 公博 京都大学, 大学院法学研究科, 教授 (70302643)
米田 雅宏 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (00377376)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 相互監視 / 分散的制裁 / 炎上 / 生ける法 / 法秩序 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年6月16日に石川幹人明治大学教授をお招きしての研究会(「心の科学の学際的展開の現状と展望」)を明治大学で開催したのを皮切りに、オンライン会議室(Chatwork)を交えての意見・情報交換を継続的に行ってきた。2019年度末に新型コロナウイルスの感染拡大が始まり対面での交流がほぼ不可能になったことから、オンライン会議室でのコミュニケーション中心に移行した。2020年3月に予定していた対面での研究会合は延期し、オンライン会議室での議論を継続した上で、2020年12月20日にZOOMによる会議を行った。 これらのやり取りを通じて、ネット空間を舞台とする私人間の相互監視と分散的制裁という現代的現象について、代表的事例の質的考察と法的論点の整理を行った。理論的考察の総括として尾崎が「相互監視と分散的制裁」と題する論文を執筆したほか、デジタル社会における人権の問題(山本)や警察権(米田)に関する論考などを公刊することができた。 2019年に現地ヒアリングを行うべく中国社会科学院と連絡をとっていたところ、同時期に発生した複数の研究者の拘束事案を踏まえて、中国側の研究協力者と協議の上で訪問調査を中止し、別の調査国を選定することにした。オーストラリアと台湾を候補に挙げ、それぞれ予備的な訪問調査を2019年度末に行うべく準備していたところ、新型コロナウイルスの急速な感染拡大の深刻化と、世界的な移動の自粛および渡航制限レベルの引き上げを受けて、オーストラリアの予備調査については関係者の協力の下、オンラインでの会議とチャット・システムに切り替えて実施し所期の目的を達成することが出来た。2020年度も同様に新型コロナウイルス感染症拡大の影響による延期(2021年度への事故繰越)をせざるを得なかったため、関連文献の収集により、理論的分析と調査準備を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
典型例の抽出と理論的考察、さらには法的論点整理および法的枠組みの更新については予定通り進行しているが、調査対象国の見直しと新型コロナウイルスの影響により予定していた海外調査を繰り返し延期せざるを得ず、文献研究による調査準備にとどまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度予算を用いて素データの収集を終えたネット言論コーパスのデータクリーニングと分析作業を早急に進めるとともに、新型コロナウイルスに係わる移動・出入国制限の緩和を待って速やかに海外のヒアリングを進めることにしたい。それらの作業から得た成果と、これまで蓄積した理論的考察のすり合わせを、オンライン研究会による共同作業により実効的に実施する。
|
Remarks |
徐行「中国の国際論調」(毎月連載)時事通信社Janet、2019年4月~2020年3月 山本龍彦「「デジタル封建制」統制を」日本経済新聞、2020年1月29日朝刊
|
Research Products
(28 results)