2022 Fiscal Year Annual Research Report
相互監視と分散的制裁―情報ネットワーク社会の法意識の解明による国家法の再定位―
Project/Area Number |
19H01403
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
尾崎 一郎 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (00233510)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 秀吾 明治大学, 法学部, 専任教授 (70330008)
徐 行 北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (30580005)
郭 薇 北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (80733089)
山本 龍彦 慶應義塾大学, 大学院法務研究科(三田), 教授 (90440370)
町村 泰貴 成城大学, 法学部, 教授 (60199726)
池田 公博 京都大学, 大学院法学研究科, 教授 (70302643)
米田 雅宏 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (00377376)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 相互監視 / 分散的制裁 / 炎上 / インターネット / 表現の自由 / プロバイダ責任 / プラットフォーム |
Outline of Annual Research Achievements |
ネット上の分散的制裁の言語のデータ分析を継続した。プロバイダ責任制限法の改正など法的対応が断続的に行われている一方で、ネット上の「炎上」の頻度は高まる一方で、内容も過激化している。 すなわち、社会の構成員が国家法的制裁以上に効率的で効果的な制裁を意識的・意図的に実施する手段としてインターネットを介した攻撃を行っているのである。多くの攻撃者が匿名であることは従前通りであるが、少なからぬ発言者が実名で攻撃・炎上を繰り返しているというのも新しい現象である。国家法上違法/不法な行為となりかねない制裁を顕名で堂々と繰り返す人々が輩出している背景には、社会による支持がある(ことを制裁者があてこんでいる)ことは間違いない。日常生活の重要なインフラとなったインターネット空間に関するこうした知見を比較法社会学的に考察するため、2023年4月15日に「高度情報社会の法過程:中国法の実践から」と題するシンポジウムを開催し、研究分担者にコメントをお願いした。また、以上の知見を含む論考を収載した学術図書として尾崎一郎『個人化する社会と閉塞する法』を9月に刊行した。 もう1つ、当初念頭においていなかった事象が発見された。すなわち、ネット上の攻撃者の中には狭い意味での法的手段や関連法規について知悉し、それらをネット上の攻撃と併用する人々がいるということである。元々本研究では、ネット上の分散的制裁は国家法による集権的制裁を回避し代替する手段であると考えていた。しかし、顕名で国家法とネットとを併用して制裁行動を行うというのは、単なる法回避行動ではなく、むしろ一定の正義感に裏打ちされた究極の制裁手段の遂行である。この意味の解明という新しい課題に逢着することになった。
|
Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
|