2019 Fiscal Year Annual Research Report
若年成人に対する刑事手続上・処遇上の諸問題の総合的研究
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19H01424
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
廣瀬 健二 立教大学, 法務研究科, 特任教授 (80409549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成瀬 幸典 東北大学, 法学研究科, 教授 (20241507)
松澤 伸 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (20350415)
佐藤 隆之 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (30242069)
柑本 美和 東海大学, 法学部, 教授 (30365689)
津田 雅也 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (80633643)
成瀬 剛 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 准教授 (90466730)
京 明 関西学院大学, 司法研究科, 教授 (90513375)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 刑事法学 / 少年法 / 若年成人 / 手続の特則 / 処遇上の特則 / 社会的支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
少年・若年成人の犯罪者に対する刑事手続上、処遇・処分等についての特則の実情とそれを支えている理念、背景などについて、理論・実務の双方から研究を行うため、その初年度として、以下の調査・研究を行うとともに、研究成果の発表も一部行った。 海外現地調査として、①2019年10月、研究代表者と研究分担者である松澤伸教授が研究協力者(保護観察官経験者の研究者である小長井賀與教授、保護観察官、矯正関係者、刑事法研究者)と共にスウェーデンに渡航し、ストックホルム市内の矯正保護庁、同市社会福祉委員会、同市のソーシャル・サービスの本部(若年・少年対応)のほか、クルム市のクルム刑務所、ヴェステロースの保護観察所、リンシッピング大学に赴いて、少年・若年成人の犯罪者に対する刑罰(制裁)による収容施設の実情、同所での処遇状況、社会内処遇である保護観察、社会的支援、多機関連携等の実情を視察し、担当の職員・関係者と面談調査を行った。②2019年5月、10月、2020年2月、研究代表者と研究分担者である京明教授がイギリスに渡航し、ロンドン、レスター、ウェールズ等に赴いて、児童自立支援施設、警察施設、刑事裁判所の視察、裁判傍聴、検察官、裁判官、研究者、関係施設職員との面談・討議などを行うとともに、ドゥ・モンフォート大学における年少者を含む供述弱者の取調に関するシンポジウムに参加し、報告・討議を行った。 国内では、上記シンポジウムのイギリスの刑事法研究者、警察関係者等を招聘したシンポジウムに参加して報告・討議を行うとともに、刑事施設の視察を行った。 上記の研究成果に関しては、後掲の論文等を発表し、研究会での報告等を行っているが、諸外国においても、手続、処分、処遇それぞれについて、若年者の判断能力、行動統制力の不十分さ、教育的処遇の有効性に基づいた特則や運用上の配慮が種々、行われていることを確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査については、上記のように、海外については、スウェーデンに1回、イギリスに3回、それぞれ赴いて実施し、関係する文献、資料の収集を行い、国内では、刑事施設の視察・関係職員との面談を行った。 これらの調査により、ウェールズの最新の動向、多機関連携の実情等の新たな知見をえるとともに、関係者との知己を得て今後の調査・研究の足がかりを得ることができた。これらにより、少年・若年成人の犯罪者に対する捜査手続(取調)、刑事裁判手続・科刑の特則、施設収容の実情・処遇の特則、社会内処遇の実情、多機関との連携の実情等についての知見を深め、研究を進めることができた。 研究会等については、イギリス及び国内でイギリスの研究者等とシンポジウムを行い、報告・討議等を行うことができ、これにより、考究を深めることができた。 研究成果の共有については、研究代表者、研究分担者において、シンポジウムにおける報告、研究会での報告、論文の発表等を行って進めている。 以上から、本研究は、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の二年目となるので、初年度の成果を踏まえて、引き続き、海外、国内における現地調査を進展させる。すなわち、犯罪者収容施設等の視察、関係機関の訪問、関係者との面談、関係資料の収集などに努め、開放的な処遇施設の実情、社会内処遇と施設内処遇の連携の実情など、これまでには訪問・現地調査のできていない地域の訪問、視察できていない施設・機関等についての現地調査を実施し、少年・若年成人の犯罪者に対する刑事手続上・処遇上の特則の実情の把握に努める。 それらの成果を研究代表者及び研究分担者間で共有して掘り下げるとともに、研究会等によって、より広い意見を聴き、上記の特則の背景、それを支える理念等についての考究を深めて行く。
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Research Products
(22 results)