2019 Fiscal Year Annual Research Report
刑罰政策における公衆の意識構造の実証的研究:「民意」をどのようにつかまえるべきか
Project/Area Number |
19H01425
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松澤 伸 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (20350415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 英世 愛媛大学, 法文学部, 教授 (40372726)
岡邊 健 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (40356209)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 法意識 / 刑罰制度 / 法理性 / 法感情 / テキストマイニング / 民意 / 熟議民主主義 / 厳罰化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、刑罰政策に関わる「民意」の正確な把握である。民主主義国家 である以上、国家の政策が「民意」に沿うことに問題はない。問題は政治家や政策担当者が 「民意」を誤ってつかまえる/理解することである。他方で、刑罰制度が適正かつ効果的に 作動するためには、刑罰制度への国民の信頼が必要であり、そのためには、国民の期待と現 実との間に大きな齟齬があってはならない。したがって、国民に支えられた適正で効果的な 刑罰政策の実現のためには、「民意」を正確につかまえること、その前提として、刑罰政策 における公衆の意識構造を明らかにすることが必須の課題となる。 民意をつかまえるために、本研究では、短い問の形を用いた大規模な調査と、比較的少人数によるフォーカスグループ調査を予定しているが、本年度は、前者について、共同研究者3名による研究会を複数回重ねつつ、質問事項の選定及び実施方法の検討を行った。これにより、質問事項は確定し、実施方法についても、従来のweb調査のほか、代表性を確実にするために、電話調査も併用する方針を固めた。具体的な実施は、2020年度の春頃と決定した。また、将来得られるデータの分析のため、その準備作業となる理論研究を、共同研究者それぞれが行った。具体的には、研究論文4、著書1という成果を公表し、また、アメリカ犯罪学会においても、以前の調査について、分析を加えた研究報告を行った(松澤・松原)。また、フランクフルト大学では、刑罰・法意識の基礎理論について、研究報告を行った(松澤)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、調査計画の確定と準備にあてる予定であったが、その準備作業は、順調に進展している
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に確定した調査計画に従い、2020年度は、実態調査を実施する予定であったが、予想もしなかった新型コロナ肺炎の流行の影響で、この実施が非常に困難となることが予想される。具体的には、春頃の調査の予定を、秋頃に延期する方法を考えているが、それも可能かどうかは、事態の推移を見守らなければならない。仮に2020年度に調査が不可能となった場合は、2021年度に延期するとともに、研究自体の1年延長も検討する必要があるかもしれない。なお、実態調査ができない場合であっても、過去に収集したデータの分析や理論研究は推進する予定である。
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[Book] 新時代の犯罪学2020
Author(s)
松原英世(石塚伸一編著)「刑事学の危機と復権」
Total Pages
322
Publisher
日本評論社
ISBN
9784535524781
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[Book] 少年法適用年齢引下げ・総批判2020
Author(s)
岡邊健(葛野尋之=武内謙治=本庄武編)「〔翻訳・解題〕少年移送法は非行に対する効果的な抑止力となるのか?(=Redding, R. E., 2010, "Juvenile Transfer Laws: An Effective Deterrent to Delinquency?")」
Total Pages
348
Publisher
現代人文社
ISBN
9784877987510
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