2019 Fiscal Year Annual Research Report
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19H01432
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
二宮 周平 立命館大学, 法学部, 教授 (40131726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 直子 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (00369612)
佐々木 健 専修大学, 法学部, 教授 (00556764)
金 成恩 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 助教 (00723884)
嘉本 伊都子 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (50340443)
高田 恭子 大阪工業大学, 知的財産学部, 准教授 (70569722)
梅澤 彩 熊本大学, 熊本創生推進機構, 准教授 (90454347)
松久 和彦 近畿大学, 法学部, 教授 (90550426)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 面会交流 / 離婚後の共同親権 / 養育費の確保 / 子どもの意見表明権 / 子どもの手続代理人 / 協議離婚 / 親ガイダンス |
Outline of Annual Research Achievements |
子の養育保障システムの1つ面会交流の継続的実施に関して、2019年6月1日に第3回面会交流支援団体フォーラム「経験交流と課題の解決へ向けて」の開催、面会交流支援団体支援員と研究者による面会交流支援研究会の立上げ(9月7日、2020年1月11日、2月29日と3回実施)、11月10日 支援の基準、研修プログラム、認証基準を研究する面会交流支援全国協会の設立、その記念シンポジウム「子どものための面会交流~イギリスから学ぶ」の開催などを行った。また、養育視線制度研究会・家族と法研究会の合同シンポジウム「今後の面会交流支援のあり方を考える」(2020年3月7日)に高田がイギリスの制度・実情について、二宮が面会交流支援団体のネットワーク形成について報告した。さらに、二宮が面会交流の権利性について日本の学説を整理し、子どもと別居親の人格的権利とする立場を示し、面会交流支援団体による支援の必要性を指摘した。 合意解決促進システムの比較研究として、韓国を訪問し、親教育の運営を中心に調査し、台湾を訪問し、家事事件サービスセンターの機能やDV事案への対応を調査した。韓国では家庭法院が中心となり、子どもへの情報提供も含めた親教育のあり方、スマホを用いた情報提供など新たな展開がみられること、台湾では家事法庭と民間団体・福祉機関との緊密な連携がなされていることなど、有益な知見を得た。 子の意思の反映システムとして、二宮が研究成果の公表として、日本離婚・再婚家族と子ども研究学会「第2回大会 離婚・再婚と子どもの育ち」において、基調講演「子どもの意見表明権と子どもへの情報提供~尊厳と育ちへのサポート」を行った(2019年10月20日)。また、高田、松村が面会交流支援団体ウィーズの協力を得て、小学4年生5年生に対して親の離婚に関する情報提供のグループワークを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子の養育保障システムの領域では、面会交流の継続的実施に関して、面会交流支援団体との共同研究組織、面会交流支援研究会の立上げと実施、面会交流支援団体をバックアップする研究組織、面会交流支援全国協会の立上げなど、実務との協働による研究は当初の計画以上に進展した。その前提となる離婚後の親権・監護権の共同化について、台湾大学の黄詩淳准教授の研究報告を受けるなど検討が進捗している。養育費の履行確保については、課題を整理し、各国の取組みを確認した。 子の意思の反映システムの領域では、二宮の研究成果の公表と、研究会における宋賢鍾仁川家庭法院次席調査官による報告及び後述の韓国訪問調査により韓国の知見を得たが、子どもの手続代理人の活用は、日弁連家事法制委員会の夏合宿に参加し、経験例を共有化し、次年度以降の研究の展開の方向性を確認した。 合意解決促進システムの領域では、韓国、台湾の訪問調査を通じて、協議離婚・家事調停各段階の合意解決促進として、義務的親教育や全家庭裁判所における実施の必要性と実現のプロセス、子への情報提供のあり方、DV加害者の治療プログラムの実情と課題、国際離婚への対応等について知見を得ることができた。ハーグ条約への対応についても、外務省主催のシンポジウムに参加し、関係者とのネットワークを築いた。
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Strategy for Future Research Activity |
面会交流の継続実施に関して、面会交流支援の基準、研修プログラム、認証基準の作成等を、面会交流支援団体、DV被害者保護団体、シングルマザー支援団体、家族社会学、児童福祉、臨床心理等の研究者、弁護士等と協働として進める。また、研究協力者の弁護士、臨床心理士との共同研究を進める。例えば、子どもの手続代理人の活用について、家事法制委員会の弁護士を中心に研究会を発足させ、グッドプラクティスの類型化を図る。さらに、子どもへの情報提供の一方法として、小中高大の教育課程および教員養成課程における法教育で家族法(親の離婚を中心に)を取り上げるプログラムの開発に着手する。 ところで、2019年11月、法制審議会の前段階の家族法研究会(商事法務)が立ち上がり、離婚後の親権・監護権の共同化、子の養育計画作成の義務づけ、協議離婚のあり方、親教育や面会交流支援団体のサポート、養育費の履行確保など本研究と共通する課題の議論が開始していることから、その進捗を参照しながら、子どもの父母の養育を受ける権利の視点から本研究を進捗させる。
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Research Products
(19 results)