2019 Fiscal Year Annual Research Report
情報伝達の経済理論・実験分析と国際研究ネットワーク形成
Project/Area Number |
19H01471
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
河村 耕平 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30787817)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 崇 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (80323468)
本領 崇一 同志社大学, 経済学部, 准教授 (40835667)
三浦 慎太郎 神奈川大学, 経済学部, 准教授 (80632794)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 情報伝達 / 情報開示 / チープトーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は国内ワークショプは予定通り開催できたものの、当該年度に計画されていた2件の海外研究者招聘によるワークショップ開催は、1件は招聘研究者の家庭の事情により、もう1件は新型コロナウィルスの影響により中止となり、更に2020年度においても旅行制限により招聘を実施することができなかった。そこで2021年度から海外在住の研究者によるオンライン研究会を定期開催し、合わせてインフォーマルな研究交流の機会を設けた。その結果、研究代表者や研究分担者の研究に資する、多くのフィードバックを得ることができた。
こうしたフィードバックをもとに、研究代表者はメディアとオンラインテクノロジーの動学チープトーク分析を深化させ、新たな厚生分析を加えることで、オンラインニュースへのアクセスのコストが(ネットニュースの充実等により)低くなるほど、ニュース記事の情報の信頼性が低下し、読者の厚生が低下する可能性を示した。また、逐次的コンサルテーションのチープトークモデルに取り組み、情報の受け手が複数の専門家を逐次的に訪れる際には、その訪問順序をランダムにすることにコミットすることにより、専門家同士の利害による情報の操作を抑え、結果として情報の受け手はより多くの情報を得られることを示した。
この間の研究分担者による研究成果としては、コロナウイルスのような特異な現象が発生した際に政府が情報を秘匿する要因の研究、組織におけるメンバーの退出と発言の相互作用についての研究、インフォーマルな権限委譲(エンパワメント)が部下からの情報伝達を阻害する状況についての研究、チープトークゲームにおいて金銭授受の可能性があれば支払条件等にコミットでき「なくても」均衡における情報伝達量を増やすことを示す研究、が挙げられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、予定されていた海外研究者招聘による研究交流が不可能になったり、経済実験が行えないなど、研究計画の一部に遅れが生じているが、理論研究については、研究報告や出版を含めて概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
渡航制限が十分に緩和され次第、海外研究者招聘や海外における研究報告を積極的に行うことで、当初計画に即した研究交流の場を創出し、国際研究ネットワークの形成を引き続き行う。同時に、ワークショップ等のオンライン開催も合わせて行い、招聘が計画通り進まない場合でも、ネットワークの構築と維持に努める。実験室実験についても、研究代表者の所属先では可能な状況になっているため、その具体的計画、実施を急ぐ。
|
Research Products
(9 results)