2021 Fiscal Year Annual Research Report
複合診療データを用いた職場環境改善のための実証研究
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19H01498
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤岡 秀英 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 教授 (30252753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 理子 静岡県立大学, 経営情報学部, 助教 (00878241)
山岡 順太郎 神戸大学, 経済学研究科, 経済学研究科研究員 (30774434)
鈴木 純 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (40283858)
堀江 進也 尾道市立大学, 経済情報学部, 准教授 (50633468)
佐藤 純恵 名古屋経済大学, 経済学部, 准教授 (70623388)
内種 岳詞 愛知工業大学, 情報科学部, 准教授 (70710143)
木下 祐輔 一般財団法人アジア太平洋研究所, 研究推進グループ 分析チーム, 研究員(移行) (70744697)
山岡 淳 大阪成蹊大学, 経営学部, 准教授 (80645482)
足立 泰美 甲南大学, 経済学部, 教授 (80734673)
勇上 和史 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (90457036)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | データヘルス / メンタルヘルス / 職場環境 / フレイル予防 / 加点式健診事業 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 職場環境とメンタルヘルス」に関する中堅企業へのアンケート調査 (1)2017年度から2020年までに実施した、2回にわたる「事業者アンケート」と「従業者アンケート」をパネルデータとして統合し、これを用いた計量分析を進めた結果、「職場のハラスメントがメンタルヘルスおよび組織に与える影響」を検証することに成功した。(2)中堅企業へのアンケート調査を企画・提案していたが、コロナ禍により対象企業からの辞退があったが、2020年10月から新たな協力企業を探し、2021年3月に新たな協力企業での全社員を対象とする調査を実施した。従業員の約80%の回答を得て、探索的分析を完了し、従業者の個人属性とメンタルヘルスとの関連性について分析作業を続けている。(3)2021年8月から新たにストレスチェックと一体化させた調査票を設計し、参加企業を募集している。2022年1月の段階で協力企業1社が参加し、2022年度にデータを受け取り分析を始める予定である。 2.「健康経営」 経済産業省「健康経営度調査」に回答した事業所の個票データと日経NEEDSに収録された企業の財務データをマッチングさせ、「健康経営優良法人認定」取得が企業の雇用面に与える影響について分析した。研究成果は第37回生活経済学会全国大会や、同学会の中部部会・関西部会2020年度研究大会で報告を行った。 3.「加点式健診事業」 姫路市夢前町前之庄校区において、2021年9月26日、「オンライよいとこ健診」ならび2022年3月20日に「対面式よいとこ健診」を実施した。夢前地域包括支援センター、姫路市中央保健センター安富分室の全面的な協力、前之庄校区長寿会の参加により、2021年度だけで延べ80名以上の受診があった。加えて、健診事業の企画、準備に携わった大学生へのアンケートとインタビュー調査を実施し、2022年度に大学教育としての成果を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.コロナ禍によるKUMiC(神戸大学ミクロデータセンター)への入室制限により、ミクロデータセンターへの入室が1日、1人に制限され、以下の計画が遅れていたが、①内種岳詞は「統合パネルデータ」のデータマイニングを実施してきた。②堀江進也が中心となり、「協会けんぽ兵庫支部」の90万人の診療レセプトデータから、生活習慣病に関するレセプトと健康診断受診データを突合し、特定健診・保健指導が生活習慣病の改善にどのようにつながるかを明らかにする分析を行った。 2.「職場環境とメンタルヘルス+コロナ禍テレワーク」の実態調査 コロナ禍でのテレワークによる職場環境の変化を加えた「新たなアンケート調査票」を作成した。複数企業に調査協力を依頼し、結果として、200人以上従業員を雇用する企業に「職場環境とメンタルヘルス+テレワーク」に関する調査協力を求め、2021年3月に約80%の回答を得られている。 3.「加点式健診事業」におけるICT化 「加点式健診事業」についても「健診票のオンラインプログラム」を完成させ、「オンラインよいとこ健診」を2回実施し、受診者全員から「健康づくり」へのモチベーションアップと行動変容についてのアンケートに回答を得られた。さらに、「よいとこ健診」の普及のため独自のホームページを作成している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.「職場環境とメンタルヘルス」 (1)リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査」(2016年から2020年)の二次分析を行う。職場環境,就業形態,雇用形態,業種,従業員規模,職種,役職,労働日数,労働時間,残業,時給,仕事の柔軟性,仕事の性質,人間関係,転職意向などの情報を用いてパネルデータを構築し,職場のハラスメントの構造的要因と個人の就業行動等への影響を明らかにするとともに,中高年齢者の就業行動について検証する。これらの研究結果は学術論文として取りまとめるとともに,学会報告ならびに学術誌等で公表する予定である。 (2)職場環境とメンタルヘルスに関する調査データとレセプトデータから構築した「統合パネルデータ」のデータマイニングを実施する。 2022年度は、抽出された要因間の詳細な関係性分析や妥当性評価が必要となりそれらを実施する。 (3)「ストレスチェック」を担う企業からの協力申出を受け、2022年夏から、職場環境、生活習慣、家族生活、テレワークを含む調査票を使い全国的な調査への展開を計画している。 2.「加点式健診事業」(よいとこ健診)による健康づくりモチベーションアップ 2022年9月と2023年3月に第9回、第10回となる「加点式健診事業(よいとこ健診)」を今年度は対面で実施する計画である。このなかで「加点式健診事業」に参加する学生、院生へのインタビュー調査、アンケート調査を実施し、大学教育への影響を実証的に明らかにし、学会誌へ投稿する。 3.健康経営度調査等の個票データを使用し、企業が実施する健康施策等の福利厚生が従業員に与える影響を検証する。また、企業毎の心身の健康状況と企業業績およびソーシャルキャピタルの関係を検証する。 4.喫煙・非飲酒・運動習慣含めた健康改善の機会費用を包括的に経済評価する。
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Research Products
(13 results)